テーマは浮遊感、銀の狭額縁がリビングにさりげなくなじむ
音声操作対応のスマートビエラには、プラズマテレビが1シリーズ(VT60)、液晶テレビ(FT60)が1シリーズラインアップされている。今回選択したのは、新IPS液晶パネルを搭載したFT60シリーズのうち、売れ筋の47V型「TH-L47FT60」だ。
FT60シリーズは、3D表示対応、USB HDDへのテレビ録画、トリプルチューナーの搭載など、フルスペックに近い構成の液晶テレビ。薄型のデザインがひときわ目を引く。ベゼル(額縁部分)も細身で、極限までシンプルさを追求している印象を受ける。パネルも従来機種よりも高精細かつ高視野角になっている。
ベゼルはシルバーであり、軽快さを感じる。フレームの細さもより際立つのではないか。表示する部分以外の要素は極限までそぎ落とし、テレビ画面の領域と美しい表示だけに注力したように見える。
このパネルは上質な仕上げのヘアラインを持つ“Vネックデザイン”のスタンドの上に固定されている。近づいてよく見るとベゼルより少しはみ出す形で透明なアクリルパネルも併用しており、質感の向上に貢献している。
「映像に没頭できる浮遊感」にこだわったとパナソニックは言うが、真横から見れば剣のように薄い。液晶テレビに求められる大画面と省スペースを両立し、そこに高機能を凝縮した1台と言える。
精度もよく、ダイレクトに機能が呼び出せる“音声認識”
このシンプルな外観にも関わらず、FT60の機能は極めて多彩だ。
上に挙げた視聴・録画というテレビとしての基本機能に加え、ネットワークを経由した各種AV機器との連携、ビエラコネクトと呼ばれるアプリの追加、そしてスマートフォンやタブレットとの連携といった機能の追加が可能だからだ。
ネットワーク機能は有線だけでなく、無線(Wi-Fi)も選べる。これは秀逸なデザインをスポイルさせないために重要だ。とかくケーブルの取り回しに難しいリビングなどでもレイアウトに縛られず設置できるのは大きなメリットだ。
高機能であるのに複雑ではないという点も好感が持てる。メニュー操作のレスポンスの速さは操作する上で快適さを生む。そして、最大の特徴である音声操作は精度も高く、複雑な操作を経ず、ダイレクトに各種機能を呼び出せる。
音声操作は通常のリモコンとは別に付属する「タッチパッドリモコン」か「VIERA Remote 2」をインストールしたiPhoneまたはAndroidスマートフォンでできる。
タッチパッドリモコンは丸型ですっぽりと手に収まるサイズ。シンプルなリモコンだが、ノートパソコンについているようなタッチパッドも持ち、メニューやカーソルの操作に使える。
音声認識は左上にある「マイク」のアイコンが付いたボタンを押すと開始。テレビ画面の左下に認識用の窓が出て、声で伝えた内容が表示される。
認識精度は高く、レスポンスも早いので、使用感はちょっと驚かされるほど自然だ。チャンネルの切り替えや音量調整といったテレビの基本操作から、番組表の絞り込み検索、ブラウザー上での検索などほとんどの操作に対応していて、例えばテレビ番組を視聴している途中で「8チャンネル」「音量 20」などと指示できる。
より便利なのは深いメニュー階層や複雑なリモコン操作が必要になるものだろう。
その代表例は番組表の検索だ。通常のテレビではラテ欄表示と呼ばれる縦軸に時間、横軸にチャンネルが並んだEPG(電子番組表)が主流だが、新聞や雑誌ほどには一覧性が高いわけでなく、表示されるのも一部だけだ。縦スクロール、横スクロールを駆使して目的の番組を見つける……といった人が大半だろう。
しかし、FT60であればタッチパッドリモコンで「曜日」「時間」などと話しかけるだけで、目的の場所に飛べる。さらに番組表内をキーワードで絞って検索したい場合でも「タレント名 番組表」などと話しかけるだけで済む。リモコンのテンキーを使って文字を入力することは、それなりにストレスになるが、言葉なら簡単だ。
外付けHDDに撮りためた録画番組の検索なども同様に便利だ。
なおテレビを操作するためのキーワードは、「ヘルプ」と話すことで表示できるが、実はスマートビエラが認識可能な単語は、パナソニックのクラウドサービス上で日々進化している。試しながら最適な動作をする単語を見つけていくことで、驚きや発見もある。簡単で楽しい操作感がこの製品の本質と言ってもいいかもしれない。