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業界人の《ことば》から 第39回

アベノミクスは、日本のモノづくりを守れるか

円安で好業績のトヨタ、一方で今夏のPCは5~8%の価格増とする声も

2013年05月14日 09時00分更新

文● 大河原克行

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製造業がんばれ、国内生産にこだわり続けるトヨタ

 そうしたなか、経営環境が好転していることは、豊田社長も歓迎する。

持続成長のスタートラインと慎重な姿勢を示す豊田社長だ。20万台規模から開始した海外生産は500万台規模に成長したが、国内の生産台数は1980年代から300万台規模のまま変わらない。しかしそれがトヨタのモノづくり、日本のモノづくりを支えている

 2012年度決算でも為替の変動影響として最終利益に1500億円のプラス効果があったとし、日本市場における7800億円規模の営業利益回復も、為替が大きく影響していることを示す。

 「アベノミクスの流れを持続的な成長につなげていくことが大切であり、3本目の矢である成長戦略が非常に大事である。この3本目の矢は、『製造企業がんばれ!』という風にも聞こえる。イノベーションの源泉であるモノづくりの基盤を強固にすることで、日本経済の再生に貢献すべく、成長を引っ張っていきたい」と語る。

 豊田社長は、今後も継続的に300万台規模の国内自動車生産を維持することを示す。

 豊田社長は、「トヨタは日本で生まれたグローバル企業である。トヨタがトヨタであり続けるためには、日本国内での生産体制を維持することが必要だと考えている。300万台の国内生産規模を維持することで、関連業界や関連企業を含めて、日本のモノづくりを守ることにもつながる。

 これは、短期的な為替の変動にも左右されない体質づくりにもつながる」と前置きし、「国内での300万台の生産体制は、1980年代から続いているものである。当時は海外生産が20万台だったものが、現在では、500万台規模に成長している。そこに違いがある。こうした海外生産の拡大の礎になっているのが、国内300万台の生産体制である。トヨタがグローバルで真の競争力を持つためには、国内300万台の体制が必要である」とする。

 円高から円安へと状況が変化したことで、トヨタの国内生産の強みは徐々に回復しようとしているともいえよう。

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