電子機器は固有の音を持っている
―― さて、これを鳴らして我々が楽しんでいても仕方がないので、まとめなければならないんですが。
船田 こういうのをやっていると、ちょっと部品が熱くなっちゃうんですよ。だからその本でも、ちょっと熱くなる程度で済む部品を使おうと。これがACのコンセントにつながっていると、最悪死んじゃったりするから、それは止めましょうと。だけど正しいエレクトロニクスはそうじゃない。危険のないよう仕様を決めて正しく設計しましょうという話になるでしょ。
―― そりゃ当然そうなるよね。
船田 この本はなぜ音が変わるかについては、正面から説明しないの。舐めるとなぜか知らないけど音は変わる。それでなぜ変わるのかと思ったら、違う本を読みなさいと書いてある。あえてそこに行かないスタンスを大事にしていて、自分の耳と指を信じなさいと言ってる。もう適当にやってたんじゃ無理、というまでそんな話をする必要ないわけだから。
―― これは電気も自然なんだから、その自然界の音を聴いて、どう使うか考えろという話だね。
船田 そういうこと。こういった電子機器というものは、すでに固有の音を持っていると。それをたまたま引き出して、発見できる状態にしているだけであって、これはまた一つの自然なんだと。自然のなかの音楽的な音というと、木々の擦れる音とか、小川のせせらぎとか、そういうものを連想するけど、電子回路だって固有の「音楽」を持っている。それを聴けるようにするだけでいいんだ、ということですね。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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