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マイクロソフト・トゥディ 第44回

「Windows 8」の行方—発売半年間の成果を探る

2013年05月09日 11時00分更新

文● 大河原克行

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さまざまな反省材料

 Windows 8の出足の遅れについては、日本マイクロソフト社内でも反省材料のひとつに捉えられている。

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、発売直後から「Windows 8=タッチ」と訴求してきたものの、タッチパネルの部材供給が遅れ、タッチ機能搭載PCが量販店店頭に並んでいないというチグハグさが見られたことを自ら指摘。「その点では、正直なところもどかしさがあった。量販店の方々からも、タッチパネル搭載モデルはモノがあれば売れるのにといわれた」と語る。

日本マイクロソフト 樋口泰行社長

 そして最大の反省点は、米国主導のマーケティング手法が、日本において最大限には効果を発揮できなかったという点である。

 Windows 8では、エコシステムを生かした情報提供手段を取らずに、マイクロソフトによる自己完結型の情報提供手法を取り入れた。だが、数多くのPCメーカーや周辺機器メーカーがある日本において、これが情報発信力の低下につながったことは否めないだろう。

 また、2013年10月26日の発売日まではなるべく情報発信を抑制し、発売日にサプライズ感を演出するというアップルを意識したマーケティング手法も、結果として、Windows 8の特徴をしっかり訴えることができないという結果につながった。

 「Windows 8はどこが進化しているのか」「製品の機能的特徴はどこにあるのか」といったことがユーザーに伝わりきらないまま、製品が発売されたというわけだ。

「今後の盛り上がりには手応えがある」

 Windows 8の苦戦ぶりは、残念ながら、現在までつながっているといっていい。樋口社長は、この半年間の自己評価を65点と手厳しい。

 「現場の努力という点では90点、95点といっていいだろう。だが、反省点も多くある」と語る。

 だが、その一方で、「インテルの新たなCPUの登場や、国内PCメーカーを中心としたユニークな新製品群の投入によって、今後の盛り上がりには手応えがある。企業におけるWindows 8に対する関心の高さにも期待している」とする。

 そして、「パートナーやユーザーに対して、どんな情報提供をしていくべきなのかといったことを、パートナーの声を取り入れてやっていきたい。これまで培ってきたエコシステムとしての底力、製品としての底力を生かしたい」と原点回帰の姿勢をみせる。

 Windows 8は、初年度の折り返し点を迎え、これからどう加速するのか。これからの「巻き返し」が注目される。


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