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Software Definedの未来は?EMC World 2013レポート 第1回

Software Defined Storageを実現する新ソフトウェアの正体

EMCの「ViPR」はデータセンターのユニバーサルリモコンか?

2013年05月07日 08時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月6日からラスベガスでスタートした「EMC World 2013」の目玉は、クラウドやビッグデータを見越した運用管理ソフトウェアだ。「ViPR(ヴァイパー)」と呼ばれる新プラットフォームでは、Software Defined Storageの実現を標榜し、異なるワークロードやマルチベンダーを統合的に扱えるという。

異なるワークロードごとのストレージ製品を提供

 ViPRはクラウドやビッグデータを志向したストレージの運用管理を効率化するためのEMCの新しいソフトウェアプラットフォーム。アプリケーションから見たストレージを抽象化すべく、既存のディスクアレイの上位レイヤーとして提供される。

Software Defined Storageを実現するViPR

 ViPRはポリシーに基づいてアレイを管理するコントロールパスとデータの取り出しを行なうデータパスの2つから構成されており、構造化データやファイル、オブジェクト、HDFS(Hadoop FileSystem)などの異なるデータを透過的に扱える。また、他社製品も含め、多種多様なストレージを統合管理できるのが大きな特徴になる。

 プレス向けのイベントにおいて米EMCのジェレミー・バートン氏は、クラウド上ではすでにさまざまなワークロードが存在することを説明した。「ワークロードによってはハイパフォーマンスが必要だし、容量への最適化が重要なものもある。またデータロスが絶対にできないといった要件もあるし、データロスを許容されることもある」(バートン氏)。

米EMC プロダクトオペレーション&マーケティング エグゼクティブヴァイスプレジデント ジェレミー・バートン氏

 これに対し、EMCではワークロードに合わせたさまざまな製品を出している。「すべてのワークロードを平等に扱うことはできない。ワークロードによってストレージを変えなければならない」(バートン氏)とのことで、信頼性を最優先したVMAX、コストパフォーマンスや機能を重視したVNX/VNXeのほか、スケールアウト可能なIsilonなどの性格の異なるストレージ製品を提供している。

多様化するワークロード

要件にあわせたEMCのストレージ

 これらワークロードの多くはクラウド化すると見込まれているが、一方でクラウドで解決できないワークロードも残っている。また、異なるワークロードを異なるインフラで提供するのは管理の面で困難が伴うし、新しいアーキテクチャのアプリケーションや巨大なデータも登場してくる。こうした課題に対応するのが、Software Defined Storageを実現するViPRになるという。

AV環境で例えたViPRとは?

 バートン氏は、ViPRのメリットを「ソフトウェアのレイヤーを使って、EMC製品やサードパーティ、コモディティストレージまで統合管理できる。サービスプロバイダーは孤島化されていたストレージを統合し、一貫したオペレーションプロセスで管理できる」と説明する。

 バートン氏は、家庭のAV環境を例にViPRの存在意義をアピールする。バートン氏によると現在のデータセンターは「TVやAV機器ごとのリモコンが存在する状況」になる。これに対し、ViPRは1つのリモコンでさまざまな機器を操作できる「ユニバーサルリモコン」の役割を果たす。つまり、性格の異なるストレージを1つのソフトウェアから統合的に扱えるわけだ。

ViPRはユニバーサルリモコンの役割を果たす

 しかし、これだけでは要件の半分しか満たせない。バートン氏は、従来の番組はあくまでTVに向けたコンテンツだけだったが、「アバター」のような最新のコンテンツは映画館での上映だけではなく、パッケージメディア、モバイル、ネット配信などさまざまな利用形態を想定していると指摘。これと同じく、ViPRは異なるワークロードを統合管理環境から扱えるのが特徴になるという。

ソフトウェアによる抽象化による弊害は?

 バートン氏に後に登壇したアミタブ・スリバスタバ氏は、ViPRの開発コンセプトについて説明した。スリバスタバ氏は、過去にマイクロソフトでWindows Serverの開発を手がけた人物で、EMCではViPRプロジェクトを推進してきた。

EMC アドバンスドソフトウェアディビジョン プレジデント アミタブ・スリバスタバ氏

 スリバスタバ氏は、エンタープライズとサービスプロバイダーの課題を解決すべく、ViPRのアーキテクチャを設計したと説明。具体的には、さまざまなストレージのサポート、高い拡張性、クラウドやオンプレミスとのシームレスな統合、ベンダーロックインしないといった顧客のニーズを満たすという。既存のストレージインフラをクラウドに移行・統合できるため投資を無駄にならず、OpenStackやMicrosoftの仮想化環境もサポートする。

OpenStackやマイクロソフトの仮想化環境もサポートされる

 多種多様のワークロードにあわせ、さまざまなストレージをマルチベンダーでサポートするというViPRのコンセプトは確かに先進的といえる。とはいえ、ソフトウェアによる抽象化が進みすぎると、ストレージごとの“個性”を殺すことになる可能性も秘めている。また、Webジャイアンツのようにコモディティハードウェアによるインフラ構築を促進する結果にもつながるだろう。こうした事態をEMCが想定し、許容していくのか。はたまた異なる戦略を考えているのか、興味は尽きない。

 ViPRの仮想アプライアンスとして提供される予定で、GA(General Availability)は今年の第2四半期になるという。

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