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グラフィックベンチ「3DMark」徹底解剖 第1回

新しくなったベンチマークソフト「3DMark」の用途と使い方

2013年05月08日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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“3つのテスト”とは?

 では3DMarkを実際に起動してみよう。「TESTS」タブの中には、Windows版3DMarkで利用できる“3つのテスト”が表示されているはずだ。それぞれ「Ice Storm」「Cloud Gate」そして「Fire Strike」と名付けられている。Advanced以上のエディションでは「Ice Storm」と「Fire Strike」には描画負荷を上げた「Extreme」設定も用意されている。特に「Fire Strike Extreme」はマルチGPUシステムに向けた超絶に重いテスト内容となっている。

Basicエディションでは3つのテストをデモ付きでチェックする「Run all tests」しかクリックできないようになっている

Advanced/Professionalエディションでは、結果を知りたいテストだけを実行できる。画質設定なども変えられるが、そのあたりは次回で詳しく解説しよう。なお、画像はすべてv1.0.0のものとなる

 3つ“も”テストが用意されている理由は、テストごとに評価すべきターゲットデバイスが設定されており、さらにテストごとに利用するAPIが異なるためだ。最新ゲーム向けのGPU性能を見たい場合は「Fire Strike」を使おう。

各テストの違い
テスト 対象機器 API
Ice Storm タブレットやスマートフォン DirectX9 / OpenGL ES2.0
Cloud Gate ノート/ホームPC DirectX10
Fire Strike ゲーミングPC DirectX11
Fire Strike Extreme マルチGPUシステム DirectX11

 これまではハイエンドからエントリーまで共通のテストでスコアを算出してきたが、テストの内容をハイエンドに合わせるとエントリーの比較がしにくく、逆にエントリーに合わせるとGPU負荷が軽すぎてテストにならない。そこでテストを分割した、という訳である。もちろんPCを駆逐しつつあるタブレットやスマートフォンへ歩み寄った、という業界事情も反映されている。

DirectX11以前のGPUを装着した環境では、図のように利用できないテストが出現する。DirectX9世代の「GeForce 7800GS」を装着した場合、10と11必須のテストは実行できない

 では、各テストの見どころや特徴をそれぞれ紹介していくことにしよう。

現行システムでは軽すぎる
「Ice Storm」

 最も軽い「Ice Storm」は、Android版や今後登場するiOSやWindows RT版と共通の内容になっている。よくある“宇宙戦争モノ”らしいシーンが展開されているが、DirectX9またはOpenGL ES2.0相当のAPIしか使っていないため、描き込みは他のテストに比べ平坦でチープだ。

ここで登場する戦闘機や宇宙船、背景の惑星は、なつかしの「3DMark Vantage」で登場したものだ。デモではスポンサーであるGalaxyの看板が各所に配置されている

 標準の「Ice Storm」では1280×720ドットで3Dを描画し、画面の解像度に拡大して表示しているため画面の描写も粗いが、Android版および3DMark v1.1.0以降では1920×1080ドットでレンダリングする「Ice Storm Extreme」設定も利用できる(Windows版でExtremeを使うにはAdvanced以上が必須)。

パイロットのモデリングを見ればわかる通り、細部の描き込みはかなり簡略化されている。ただテクスチャーがそれなり描き込まれているおかげで、それほどチープな印象は受けない

 テストは2つのGraphicsテストに、CPUを使ったPhisicsテストで構成される。どのテストも他の2つのテストに比べると内容はシンプルだ。こうした設計から、「Ice Storm」は今どきのPCにとっては大した負荷とならず、スコアの比較がしにくい。そのためPCの性能比較には使えないと考えよう。

「Ice Storm」のPhysicsテスト。ブヨブヨとした玉と地面、玉と玉の衝突の計算はCPUを使っている。PhysicsテストではGPUの負荷が最小限になるよう、視点はまったく動かない。

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