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マイクロソフト・トゥディ 第43回

Azureが支える、トヨタ「GAZOO.com」大幅リニューアル

2013年05月02日 11時00分更新

文● 大河原克行

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多様化する利用ニーズに柔軟に対応

 トヨタが、GAZOO.comに、Windows Azureを選択したのにはいくつかの理由がある。

 ひとつは、多様化する利用ニーズへの柔軟な対応だ。

 1998年にGAZOO.comのサービスを当初した当初は、PCでの利用を想定したサイト作りをしていたが、ここ数年、スマートフォンやタブレットなどからアクセスするユーザーが増加。こうしたデバイスの多様化にも柔軟に対応することを目指すという。

 現在、スマートフォンからの利用率は全体の約3割。これを半分ぐらいにまで増やしたいとしている。

 TwitterやFacebookへの対応に加えて、新たにスマートフォン向けアプリ「GAZOOドライブ」を用意。スマートフォンを活用したお勧めルートの案内、旬のスポットの紹介などを提供する予定であり、自分のクルマで観光地を回る際に、バスガイドによる観光案内を聞くことができるといったサービスも提供する。

 また、利用ニーズの多様化という点では、クルマのファンを増やすための施策のひとつとして、クルマ好きの男の子を持つファミリー層などに対して、トヨタオリジナルのカードゲームの提供を開始するなど、これまでのGAZOOには存在しなかったコンテンツを用意するといった取り組みも含まれる。

 トヨタ車の購入層は、50〜60歳代が最も多いが、GAZOO.comの利用者は30歳代が最も多い。クルマ離れが懸念されている、こうした若い層に対しての訴求をさらに加速させていくといった狙いもある。

 トヨタでは、現在、月間165万人が利用しているGAZOO.comを、1年後には月間200万人の利用者にまで引き上げる考えだ。

トータルコストの削減—全体費用が約半分になる見込み

 2つ目のポイントは、トータルコストの削減だ。これまでのGAZOO.comは、オンプレミス型システムで対応しており、アクセスのピーク時への対応などを考慮し、大規模なIT投資が必要となっていた。

 パブリッククラウドであるWindows Azureを活用することで、GAZOO.comで提供する膨大な情報や、SNSを通じたユーザーの投稿情報を低コストで運用/管理できるとしており、「運用管理、保守、コンテンツ制作費用といった全体費用は、これまでのオンプレミス環境での運用に比べ、約半分になると見込んでいる」(トヨタ自動車 e-TOYOTA部・山田博之部長)としている。

Windows Azureを活用することで、GAZOO.comで提供する膨大な情報や、SNSを通じたユーザーの投稿情報を低コストで運用/管理できるとしている

 日本マイクロソフト 執行役常務 エンタープライズビジネス担当・小原琢哉氏は、「トヨタが持つ30万ページのウェブコンテンツを格納し、瞬時にアクセスできる。そして、今後増大するSNSの情報にも対応し、お客様が求める情報を、より早く、より適切に提供することができる。これは、Windows Azureが持つパブリッククラウドとしてのスケーラビリティ、フレキシビリティ、アベイラビリティとともに、SharePoint Server 2013が持つエンタープライズ検索機能、ブログおよびSNS関連機能、膨大な情報の管理と柔軟なアクセスを可能とするコンテンツマネジメントサービス機能によるもの。その点が、トヨタに評価されたと考えている」と、自信をみせる。

 GAZOO.comは、トヨタの情報を提供するだけでなく、幅広い情報を提供することで、クルマファンを増やすのが目的にスタートしたという。実際、一新したサイトでも国内外の3000車種の新旧自動車のデータベースを提供するなど、トヨタの枠にとらわれないサービスも展開している。

 GAZOOの名称は、中古車情報などの画像(GAZO)が、動物園(ZOO)のように集まったサイトという意味で名付けられたものだという。

 Windows Azure採用により柔軟性がさらに高まったことで、GAZOOによって実現される「ZOO」—内容は、GAZO(画像)以外のコンテンツを含め、ますます広がることになりそうだ。


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