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UPを使うと何が分かるのか

Jawbone UPがもたらす「ライフログ炎上」とは

2013年05月04日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ライフログ不適応者はそれでも出る

 正しく言えば、目標とする一日の歩数や、睡眠時間の設定はあります。ですが、睡眠時間は努力して到達するものでもないし、歩数も当たり前に生活した結果出てくる値。だから普通に生活をしていて、自分がどう活動しているかを客観的にモニターするだけ。それにどのような意味を感じるかは、個々によって違うはずです。

 このように、人類のほとんどがだらだらと使い続けられる製品とはいえ、ひとつだけ問題があります。それは1日1回必ず手動で「就寝」と「起床」を切り替えなければならないこと。一度だけボタンを長押しすれば済むことですが、それすら面倒で忘れてしまうんですね、人類は(と一般化して誤魔化そうとしているものの、実は私が)バカだから。

起床モード。ボタンを長押しするとお花(お日様?)のようなマークが光ります

こちらは就寝モード。滲んで分かりにくいですが三日月のようなマークが光っております

 「起床」モードは万歩計としてしか動作しないので、睡眠状態を計測できない。睡眠状態を計測するには「就寝」モードに切り替えないといけない。で、この操作は、どうやったって忘れる。ただボタンを長押しすればいいだけのことですが、起きて気がつくと、ただひたすら平坦な万歩計のグラフが残っているのみということがしばしば……。

 考えてみて欲しいんですが、ああ、眠い、眠いぞ、もう眠い、バタンキュー。と、ベッドの上に倒れ込み気を失うまでの間に、その意思を持ってボタンの長押しをするには、強いUPユーザーとしての自覚が必要です。だって眠いと思ったら、もう意志も自覚もへったくれもないんですから。そりゃボタンの長押しなんて、できませんって。

睡眠状態を表示したグラフ。両端のオレンジ色の部分が「睡眠」モードに切り替わっていて、目が覚めている状態。薄く低い青が「浅い睡眠」、濃くて高い青が「深い睡眠」

こちらは万歩計のグラフ。歩いた時間や、パーソナルデータ(年齢、体重、性別)から推計されるカロリー消費量が表示される

 という強弁を終えまして、もうひとつ、ライフログに潜む危険を指摘しておきたいと思います。

 UPには「チーム」と呼ばれる友だちの間で、各々のライフログを共有する仕組みが用意されています。プライバシーを保護する機能があり、TwitterやFacebookにログをポストするものではありません。しかし、仮にその一部が、うっかりミスで全世界に流れてしまった場合どうなるか。そうなると、それにともなう炎上も確実に起こると予言します。

 名付けて「ライフログ炎上」。と申しますのも、私は、UPの利用初日から、その可能性をいち早く体験したからです。

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