スマートライフのパートナーを目指すNTTドコモにとって、スマートフォン基盤の拡大は重要なテーマとなる。
加藤社長は、2013年度のスマートフォンの年間販売計画を、前年比2割増となる1600万台を掲げ、さらにスマートフォン利用のベースとなるXi契約数を2.2倍となる2500万契約目指す計画を明らかにした。
「スマートフォンは2011年度は882万台、2012年度は1329万台。2012年度は全体の3分の2がスマートフォンだったが、2013年度は4分の3がスマートフォンになる」と語る。
そして、「スマートフォン基盤を2倍に拡大することで、将来に向けた成長の基盤が確立できる」とし、これを基盤として、スマートライフのパートナーを目指すことになる。
自らサービスを提供する上で、アップルとの立場は対立する?
スマートライフのパートナーを実現する上で、iPhoneのポジションとは一線を画すことになる。
加藤社長は、「ドコモの事業の進め方は、自らがプロバイダーとして、スマートライフのパートナーとなることである。その点を踏まえて検討しなくてはならない」と、アップル自らサービスを提供するiPhoneの取り扱いには、依然として慎重な姿勢をみせる。
その一方でドコモが採用を表明している新OS「Tizen」(タイゼン)搭載スマートフォンについては、「TizenはオープンなOSであり、Androidよりも自由度が高い。ドコモが目指す『スマートライフのパートナー』を実現するためには、それに相対するOSに自由度がなくてはいけない。提供する機能や、クラウド連携という点を考えて、Tizenを採用していくことになる」と、今後の製品化に前向きな姿勢をみせる。
従来型携帯電話機には依然、高い需要がある
ところで、問題となるのはフィーチャーフォンの取り扱いだ。スマートフォンの販売比率が高まり、「スマートライフのパートナー」を推進するドコモにとっては、フィーチャーフォンの今後の存続が気になるところだが、加藤社長は、「フィーチャーフォンについても根強い需要があるため、これからもずっと出し続ける。音声についても改善をしていく」と断言した。
「スマートライフのパートナーへ」を目指すドコモにとって、フィーチャーフォンは、戦略の中心製品にはならない。むしろ、足かせになる可能性もある。果たして、フィーチャーフォンでスマートライフを実現することはできるのだろうか。今後のフィーチャーフォンの継続には、その点も大きなポイントになりそうだ。
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