WWDCロゴの意味するところ
もうひとつ話題となったのが、WWDC 2013のウェブサイトにあるロゴの意味するところだ。毎回ではないが、これまでAppleが使うロゴには新製品に関する情報が隠されていることがあり、これを慎重に分析すれば未発表の事実につながるかもしれない。本稿では、このロゴを「要因分解」することで、6月のWWDC 2013における新製品情報を占ってみよう。
まず、ロゴの形状から。角が丸められた正方形は、光沢こそついていないものの、一辺とRの比率は17%というルールに沿っていることから、iOSのアプリアイコンの暗喩と考えてよさそうだ。ということは、iOSの次期バージョンにおいて「アプリ」に関するなんらかのブレイクスルーがあるはず。iOSおよびOS Xに関する発表があることは確実 -- Webサイトに「Get an in-depth look at what’s next in iOS and OS X...」と書かれているのだから必然 — とはいえ、全体像はつかみやすくなる。
角丸正方形が複数重ねられていることにも、意味があるはず。しかも色はパープルとレッド、グリーン、オレンジ、ブルー、ピンク、そしてシトラスイエローと、iPod nano/shuffleのカラバリとほぼ同じ。単純に類推適用すれば、iOSデバイスのカラバリ化が進行する、という読みが成り立つ。
そして、もうひとつ……
そしてもうひとつ、西暦がローマ数字で表記されていることにも意味が隠されていそうだ。「MMXIII」は「2013」という意味だとしても、なぜあえてローマ数字なのか。「WW」と「MM」を上下に配置し、鏡映対称性というデザイン効果を狙ったのだろうとしても、後に続く「DC」と「XIII」の扱いがしっくりこない。
可能性としては「時計」だ。現在、ローマ数字といえば時計の盤面(競馬の着順表示を思い出す人もいるだろうが)、時計のようなデバイスを出すことの暗喩という可能性も考えられる。「ウェアラブル・デバイス」の時代が到来するのだとすれば、メガネ、時計、靴、ベルト……さすがに下着はないにしても、「Google Glass」の向こうを張り「Apple Watch」なり「iWatch」を出す可能性は否定できないはず。角丸正方形のひとつひとつが回転しているのは、時計の針という意味か?
一方、このロゴからは「ネコ科」の気配がまったく感じられない。2007年、iPhone OS(当時)に注力すべく開発人員をOS Xチームからシフトし、Leopardのリリース時期が半年以上遅れたことがあったが、その年のWWDCロゴには動物の毛皮を思わせる下地が使われていた。最近、再びiOSチームへの人員シフトが噂されているようだが、火のない所に煙は立たず、WWDCロゴは時代の移り変わりを映しているのかもしれない。
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