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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第16回

アメリカのテレビドラマ制作に学ぶ

課金コンテンツ、成功のデザイン

2013年05月03日 09時00分更新

文● 前田知洋

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アメリカンドラマの成功例

 アメリカではケーブルTV、いわゆるペイTVが普及しています。一時期は全米の家庭では70%を超えた普及で、現在でもほぼ60%が加入しています。アメリカにも無料の地上波があるにもかかわらず、これほど普及しているのは、チャンネルの多様化だといわれています。数百チャンネルのなかからユーザーの好みに合わせてチャンネルを選択でき、ニュースでさえ保守派からリベラルなものまで選べます。

 そんな中、ちょっとした成功を収めている代表コンテンツは、テレビドラマ。日本のドラマとは制作システムが大きく異なります。そんなシステムの違いに、これからのコンテンツ課金の鍵が隠されていると筆者は思っています。

デザイン・オンデマンド

 ほとんどのアメリカンドラマは登場人物が多く、準主役クラスに多彩なキャラクターを配置することからストーリーは始まります。放送するごとに非公式のリサーチをおこない、視聴者に人気がある俳優の出番を増やし、逆に人気のないキャラクターは出番が少なくなっていく。そんなわけで、ストーリーや脚本は、放映されるごとに(といっても俳優がセリフを覚えられる範囲で…)軌道修正していきます。

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 昔のように、企画時にストーリー全体の流れをキッチリ決めてから撮影をスタートするのではなく、放送される週ごとに脚本が書き直されるフレキシブルな構成。世界中でヒットしたFOXチャンネルの「24(トゥエンティフォー)」も当初は13回までしか放映が確約されなかったのは有名な話です。別のドラマでは、ロケ先で俳優の1人が飲酒運転で逮捕されたため、そのキャラクターが突然「ストーリーから消えた」なんて話もあります。

 全米で空前のヒットした「アメリカン・アイドル」も視聴者からの電話投票で勝ち残りが決まるなど、そうしたオンデマンドなドラマの手法がバラエティ番組にも導入されるようになってきました。

現代社会は多様性にあふれている

親しみを覚える多様性

 ドラマの登場人物もアフリカ系やアジア系、ラテン系のキャラクターを含むだけでなく、ここ数年はゲイのキャラクターがたびたび登場するのも特色です。そうしたことで、複雑な社会の様々な層の視聴者に共感され、ファンを作り出すキッカケにもなっています。

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