本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
発展途上の「フォトストリーム」
iCloudの「フォトストリーム」は、iPhone/iPadユーザーにとって利便性の高い機能だ。Wi-Fiアクスポイントに接続するだけで、撮影した写真は自動的にクラウド領域(iCloud)へアップロードされ、あわせてiCloud上にある(他のデバイスで撮影された)写真がダウンロードされる。川の流れを連想させるネーミングだが、一方的ではなく双方向なところが特徴だ。
しかし、いくつかの制約がある。自分のフォトストリームにアップロードできる画像の枚数は、1ヵ月に2万5000枚、1日に1万枚、1時間に1000枚まで。それを超えてアップロードすることはできず、その制限期間を超えるまで待たなければならない。友人・知人と利用するための「共有フォトストリーム」は、さらに細かい制限が設けられている。
フォーマットも決められている。JPEGとTIFF、PNGとRAW以外の画像フォーマットはサポートされず、動画についてはまったく対応しない。容量制限がないフォトストリームだからこそ、転送に時間を要しても動画に対応してほしいところだが、現状では静止画のみだ。
もうひとつ、回線はWi-Fiのみでモバイル回線(3G/LTE)に対応しないこともある。第110回で取りあげた「Yahoo!ボックス」のように、モバイル回線を利用できるアプリ/サービスも登場している現在、このままでは相対的な魅力が低下しかねない。
とはいえ、それはあくまで現時点での話。フォトストリームはクラウドサービスのため、転送可能な枚数や動画のサポートは、いわばAppleの胸先三寸だ。モバイル回線についても、LTEの普及がさらに進むなどインフラが整備されれば、対応はそれほど難しくないはず。まだ改良の余地が大きい、発展途上の機能だといえる。
実際、クライアントソフト側は進化を重ねている。4月17日に公開された「iPhoto '11」の最新バージョン(v9.4.3)では、フォトストリーム上の写真をゴミ箱へドラッグ&ドロップで捨てられるようになったほか、フォトストリームから手動で読み込んだRAWイメージの編集が可能になった。ライブラリーへコピーすることなく、ファイルメニューの「書き出す...」コマンドを使い直接フォトストリームから写真を書き出す機能も追加された。これは推測だが、iOS側の機能/アプリもそのうち改良されるのではなかろうか。
iPhoto | |||
---|---|---|---|
価格 | 1300円 | 作者 | Apple |
バージョン | 9.4.3 | ファイル容量 | 1067.1MB |
対応デバイス | Intel CPU搭載Mac | 対応OS | OS X 10.7.5 |
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