回答編
カットスルーはスイッチの転送方式の一つね。通信フレームを受け取った際、先頭6バイトだけ確認して転送に入る。
6バイト……? なんでですか。
MACアドレスってあるでしょ。PCのネットワークカードや無線LANアダプタにつけられてる識別子。同一ネットワークの、宛先や送信元ホストを確認するためのものだけど、あれが6バイトなのよ。
MACアドレス……ああ、00:40:ce:98:XX:XXとかいうやつですか。これが6バイトなんです?
16進数だから。
16進数……てことは一文字が4bitで12桁の……48bit。単位がバイトだから8で割ると……おお、6バイトだ!
イーサネットフレームの構成を見れば分かるけど、先頭データが宛先MACアドレスに割り当てられてるのね。だから最初の6バイトさえ見れば少なくとも送り先は分かる。
なるほど、データが全部受け取れてなくても宛先だけ確認してすぐに送り始めちゃうわけですね……でも、なんで?
昔のスイッチは処理能力が低かったから、フレームを全部精査して送り出すと遅延が多くなっちゃったのね。だから高速化するために必要最低限の情報だけ読み取るようにしたの。代わりにエラーチェックはほとんどなしって感じで。
今は違うんですか?
ネットワーク装置の性能も随分上がってきたからね、最近のスイッチは殆どが蓄積してから転送する形、いわゆるストアアンドフォワード方式をとっているわ。ただとにかくパフォーマンス重視なネットワークだと引き続きカットスルーが必要なケースもあるから、そこはケースバイケース。用途を見て切り替える形になると思う。
ふむふむ……機能と性能、パフォーマンスと価格のトレードオフってわけですね。その時代時代に応じた技術が選択して使われていってる。今回はそれがカットスルーとストアアンドフォワードって話ですね(いい感じにまとめた!)。
イエース! カットスルー!(アクセントの位置はカ)。
………(台無しや)。
【解説】
カットスルー:
L2スイッチの転送方式の一つ。受信フレームを全蓄積することなく宛先アドレスだけ見て転送する。遅延や負荷を削減できるかわりにエラーフレームを問答無用で転送してしまう危険がある。他の転送方式としてストアアンドフォワードやフラグメントフリーなどがある。
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