iPhone 5にぴったりな1万円前後のイヤフォンを探せ!
最後に、iPhoneを使った屋外でのリスニングには欠かせないカナル型イヤフォンを紹介していこう。今回は比較的手が出しやすいであろう1万円前後で買えるイヤフォンを中心に製品をチョイスしてみた。
豊かな低音と解像感の高い中高域を両立!
AKG「K375」
ハーマンインターナショナルが展開する「AKG」製品は、オーバーヘッド型のヘッドフォンが人気だが、カナル型でもBAとダイナミック型ユニットを組み合わせた3ウェイ構成の超高級モデル「K3003」(実売価格13万8000円前後)が話題になるなど、イヤフォンタイプのモデルも数々の製品をラインナップしている。
今回取り上げる「AKG K375」(実売価格9000円前後)は、見た目はK3003にそっくりのデザインで、アルミハウジングのヘアライン仕上げなどなかなか高級感がある。
使用するユニットは口径9mmのダイナミック型で、ユニットの背圧を最適化する「ダブル・ベンチレーション・システム」により、豊かな低音と解像感の高い中高域を両立している。また、iPhoneと接続して使えるマイク付きリモコンも付属したモデルとなっている。
シングルユニットのモデルながら、低音感はなかなかのもので、弾力感があってノリのいい再現となる。中高域の解像感もなかなかのもので、やや細身の印象はあるが「イーハトーブ交響曲」の男女の合唱の声色の違いをきちんと描き分け、重なった声の響きの美しさがしっかりと出る。
反面、「Tell Your World」を効くと、高域がややシャカシャカとした感じに聴こえることもある。音のクリアさとエネルギー感を重視した勢いのよさが特徴的なので、録音ソースによってはやや派手に聞こえることもあるようだ。
「サンケン・コンドズ」は細かな音も自然で軽快なサウンドを気持ちよく再現した。多少やんちゃなところもあるが、1万円未満の価格としてはなかなかの表現力と言える。
独自開発BAで聴きやすさと情報量の豊かさを両立
ソニー「XBA-20IP」
BAユニットを2つ内蔵したソニーの「XBA-20IP」(実売価格1万2000円前後)は、価格的にお手頃だし、帯域の広さや音のまとまりがいいなど、なかかバランスよくできているモデルだ。
本機はiPhone操作用のリモコンが付属したモデルで、内蔵マイクによるハンズフリー通話も可能となっている。
2機のBAユニットを内蔵した構成や、音道部分を硬めにし、耳にあたる外側は柔らかくしたハイブリッドイヤーピースを採用するなど、初代のBAモデルと比べて大きな変化はないが、音の点では熟成が進み、表現の深みが伴ってきた。
「サンケン・コンドズ」では、ドナルド・フェイゲンの声を表情豊かに、微妙に付加されたエコー感も丁寧に再現することで、軽快さと奥行き感のある空間感をきちんと描き出す。
基本的にはBA型らしい解像感の高いキャラクターなのだが、神経質すぎることがない。中低音域がしっかりと充実し、厚みのある音色を手に入れている。このあたりが熟成が進んできたことを実感させる部分で、音色の柔らかさと解像感の高さがうまくバランスしている。
「イーハトーブ交響曲」でも、広々としたホールの響きと、合唱団やオーケストラの音の粒立ちのよさが両立されており、写実的なステージ再現になる。コントラバスの低音感も無理して出したようなところがなく、余裕のある豊かな鳴り方だ。忠実感のある音色や反応がよく表情が豊かに感じられるなど、かなり完成度を高めてきた印象だ。
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