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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第119回

DETUNEのポケコンアプリ「DPC-100」はこうしてできた

iPhoneでポケコン? 脳内から生まれたアプリが一部で話題に

2013年04月13日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ポケコンのBASICにこだわらずに設計

―― BASICにしてもいろんな種類があるわけですが、どれを参考にしたというわけでもない?

鈴木 全く関係ないですね。当時のBASICみたいなものにしちゃうと、言語として使いにくいかなと思って。僕は仕事柄、C言語を当たり前に使っているんですけど、ちょっと勉強すれば、いま一般的に使われている言語も実行できるようになる。そういうものを想像して設計した感じですね。

船田 そこは言語デザイン的なところにも踏み込んでいるわけですね。

鈴木 一般的なBASICだと、文字列を扱う時に $ を付けるじゃないですか。でも書く時に面倒くさいですよね。今の言語は型によって名前を変える必要もないので、それは外して。イベントの時に載せた言語は、ちゃんとDIMで変数を宣言して、$ も付けなきゃならないように作ってあったんですけど。

船田 じゃあ元々はもっとBASIC臭かったわけですね。それを変えたのは、やはり発展性を考えたからですか?

鈴木 C言語まで行っちゃうと難しいだろうから、C言語にも移行できるような仕様を入れつつ、本来のBASICの面倒くさいところは全部外そうと。一般的な命令はBASICに沿っていますが、iOSのディバイスへのアクセスは関数という形で実装しています。

船田 いまiOSの機能は何が呼べるんでしたっけ?

鈴木 加速度センサーと、タッチパネル、それと時計。そしてGPSと電子コンパス※3と、あとなんだっけ?

佐野 これですよ、TORCHコマンド。これはいいですよ。

TORCHコマンドを実際にデモしていただいた

―― iPhoneのLEDライトをコントロールするわけですね。

佐野 僕の仕事が滞りましたからね。曲を作っている最中に鈴木さんから「TORCHコマンドが入った」というメールが来て、ずーっとそれで遊んじゃって。

―― これチカチカさせるスピードも変えられるんですよね。

佐野 BEEPも同じ速度でピピピッってやれますから。

船田 ポケコンはコネクターを出して外に回路を用意したりするじゃないですか。でもこれだと、最初から入っているものを呼ぶだけで、相当なことができちゃうんですね。

鈴木 あとディバイスで対応していないのといったら、マイクとバイブレーションくらいですね。マイクは当然いつしかは付くだろうと。DETUNEの製品としては。

―― 音の扱いはどうなっていますか?

鈴木 これはPSG音源ですね。これは音源ドライバーを実装しています。

船田 キーと音の長さを書いていくんですか?

鈴木 もっと原始的です。キーオンとキーオフ、MIDIと同じノートナンバーを与える命令、それとボリュームが0から15まで。あとデューティ比が変えられる。その4つしかないんです。

―― MMLのようなものでもなく?

鈴木 違います。ただ自分でテキストを解析するプログラムを組んでいただければ、MMLを実装することはできると思います。かなり大変だと思うけど※4

佐野 ただ、結構手厳しいコメントもありますよ。各自のBASIC観も出てくるので。

船田 BASIC観というのは?

佐野 先ほどの話に通じるんですが、レギュレーションがないから、皆の頭のなかに色んなBASICがあって。人によっては「今の時代のBASICはこれでいいんだ」という、iOSの機能をBASICで使えるパラレルワールドを理解している人と、「いや、これはポケコンではない!」みたいな人まで。

―― それは仕方ないでしょうね、原理主義みたいな。

船田 僕も最初の1時間くらいは原理主義者になったんです。自分の脳内BASICとの違いで、佐野さんに「これどうなんですか?」って、Facebookとか皆が見える所に書いてやろうかと。

佐野 いやいや、それはそれでまた炎上マーケティング的でいいですけど。でも「こんなのありえないっ!」ていう人も、ものすごいゴリゴリでプログラムを書いているとか。

―― 結局、みんな愛が強いわけですよね。

佐野 そこがすごくいいです。やってみたらドハマりしていくみたいな。

※3 電子コンパスを使ったプログラムの例としては、司 隆(つかさ たかし)さんの「セカイカメラもどき」。写真を撮るようにiPhoneを垂直に持ってパンすると、画面に方角が表示される。詳しくはこちら

※4 PSG音源を使ったプログラムの例としては、同じく司さんの作品が楽しい。どんな音が出てくるかは実行あるのみ!

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