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マイクロソフト・トゥディ 第40回

移行支援! 「Windows XPサポート終了」トリビア

2013年04月11日 11時00分更新

文● 大河原克行

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外資系メーカーのPC製品ユーザーに、Windows XPが多い?

 NEC、富士通、パナソニックといった国内PCメーカーの関係者に話を聞くと、企業向けPCにおいても、比較的スムーズにWindows XPからの移行が進んでいるようだ。これらのメーカーでは、IDCジャパンが発表したように、企業向けPCの4割をWindows XPが占めるという状況にはなっていないという。

 一方で、4割以上の構成比となっているのが、日本ヒューレット・パッカードやデルといった外資系PCメーカーだ。両社の関係者によると、IDCジャパンが示す4割という構成比を上回る自社ブランドのPCで、Windows XPが使われていると想定している。というのも、これらのメーカーでは、2010年10月のWindows XP搭載PCの販売終了にあわせて、駆け込み販売キャンペーンを大々的に実施。この影響が大きいとみられる。

だんだん過激になる? 日本ヒューレット・パッカードの広告

 Windows XPのサポート終了に関して、新聞広告などを通じて、最も積極的に訴求しているのが日本ヒューレット・パッカード。Windows XP搭載PCユーザーを多く抱えているという背景もあるようだが、同社の告知を通じてWindows XPのサポート終了を知った人も多いはずだ。

 ところで、この広告だが、徐々にメッセージの内容が強くなっている。当初は「あなたの会社、2014年問題は大丈夫ですか?」と、Windows XPのサポート終了を告知するものであったが、次には「いますぐ対策を始めれば」というように、対策に踏み出すことを促すものに。続いて、「セキュリティ崩壊」という言葉を使い、Windows XPを使い続けることの脅威を示した。

 そして、今週掲載された広告では、「まだXP?」と、Windows XPを使用していることを遅れているといわんばかりのメッセージになった。これからもこの広告シリーズの文言がどう変化していくのかも楽しみだ。

Windows XPのサポート終了に関して、新聞広告などを通じて、最も積極的に訴求しているのが日本ヒューレット・パッカードだ

Windows XPからの移行キャンペーンは誰がターゲット?

 日本マイクロソフトでは、移行支援強化期間のキャンペーンとして、Windows XPから最新OSおよびOfficeへの移行に際して、15%の割り引きサービスを用意する(関連リンク)。Windows XPで利用しているPCをそのままにして、最新OSへの移行を促す施策だ。

「Windows XP & Office 2003移行促進キャンペーン」特設ページ

 ただ、これは一見すると、Windows XPを搭載しているすべてのPCで、Windows 7/8が動作することを保証しているように感じられるが、そうではない。日本マイクロソフトが対象としているのは、先に触れた駆け込み販売キャンペーンの実施時期に導入したというような比較的最近のWindows XP搭載PCや、ダウングレード権を活用してWindows XPを利用しているWindows 7搭載PCユーザーなどだ。決して、2001年10月の発売当初のWindows XP搭載PCを対象としたものではない。

ネットにつなげていないから、
Windows XPでも大丈夫というのは過信!

 Windows XPのサポート終了後は、セキュリティ更新プログラムが配信されなくなり、脆弱性を突いたコンピューターウイルスに感染するリスクが高まることになる。企業では情報漏えいに対する懸念が出てくるだろう。

 一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター早期警戒グループリーダーの満永拓邦氏は、「適切にセキュリティ更新プログラムを更新するだけで、98%以上の脅威からPCを守ることができる」とする。これが2014年4月以降に提供されなくなるのは大問題だ。

 なかには、インターネットにつなげて使用していないから大丈夫だというWindows XPユーザーもいるだろう。しかし、日本マイクロソフトの高橋正和チーフセキュリティアドバイザーは、「USBメモリーを通じてウイルスが侵入し、大規模感染に至った例も報告されている」として、スタンドアロンで使用していても感染の可能性があることを指摘する。文書データなどを読み込む際に、USBメモリーを使うといったことは、よくある利用シーンだ。ネットにつないでいなくても、ウイルス感染の危険性があることを理解しておいたほうがいい。

2014年4月、消費税率が8%に引き上げ予定

 Windows XP搭載PCの移行はいつやるべきか。それは早いに越したことはない。1台のPCに最新OSをインストールするのに1時間は必要。さらに、認証設定やセキュリティツールの設定、アプリケーションやデータの移行などを考えると半日以上かかってしまうという場合もある。現存するWindows XP搭載PCは、2589万台。これは1500万台規模とされるPCの年間出荷の約1.6倍。

 すでに業界内では、PC出荷が追い付かないという指摘がある一方、サポートが終了する2014年4月には、同じタイミングで消費税率の8%への引き上げが予定されており、その駆け込み需要も上積みされる。業界全体の対応力が限界を超える可能性もあるのだ。

 「特に企業においては、少なくても今年9月までには方針を決定しないと、サポート終了後にもWindows XPを使い続けざるをえないことになりかねない」と、リコー・ジャパンの窪田大介専務執行役員は指摘する。今から手を打っておくのが得策だ。


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