AMDの期待を背負うKX133
ただし、サードパーティ製のチップセットはもう少し遅れることになる。1999年の段階では、VIA/ALi/SiSが開発中という話だけが示されたが、翌2000年5月に開催されたAMD Developer's Conference '00では、以下の画像のロードマップが示され、「KX133」が登場する喜びを隠さなかった。
元々AMD-751のスペックは、ちょうどIntel 440BXをSlot A対応にしたとでも言うべきシンプルなもので、メモリーはPC-100のみ、FSBも200MHzまでのサポートだった。そのうえサウスブリッジである「AMD-756」の機能も最小だった。これもあって、AMD-751にサウスブリッジとしてVIAの「VT82C686A」を組み合わせるというケースも多く、実際FICの「SD11」やMSIの「K7PRO」もそうした構成であった。
ただPC133やAGP 4Xへの対応はAMD-751ベースでは不可能で、すでにそうした機能をサポートしているIntel 815にはスペック的に見劣りすることになる。もっと言ってしまえば、VIAはすでにこれらの機能を搭載した「Apollo Pro 133」を1999年中にリリースしていたため、せめてこれと同等のスペックになる製品をAMDは必要としていた。
AMDもAMD-761/AMD-762を開発していたが、「AMD-761」の搭載製品が出荷されたのは2001年2月のこと。「AMD-762」は2001年6月まで製品出荷が遅れた。この間をVIAのKX133に埋めてもらうことを当時AMDは期待したわけだ。
Athlonの供給量増加に合わせて
KX133の需要も増加
一方、VIAの思惑を示したものが上の画像だ。これは1999年9月にVIAが開催したPC2000 Platform Solutionというイベントにおける資料であるが、すでに出荷されていたSlot 1向けのApollo Pro 133のFSBのみを、Slot AのEV6プロトコル対応とする形でKX133というチップセットをリリースした。
KX133の主要な特徴は下の画像の通りで、FSBは200MHzで固定となっているが、PC100/PC133のSDRAMに対応し、AGP 4Xのサポートなどが含まれている。AMD-751との差はPC133 SDRAMのサポートとAGP 4X対応以外にも、最大2GBのメモリサポート(AMD-751は768MB)やレイテンシーの最小化といった特徴を持っていた。
このKX133を搭載した製品は2000年初頭から発売が開始される。上の画像にもあるように、KX133は1999年8月からサンプル出荷が開始されていたから、予想よりも少し遅い程度ではあったが、KX133を搭載した製品もこれまたよく売れた。
KX133が売れたのには理由がある。当初発表されたAthlonはK7コアで、製品出荷量はそれほど多くなかった。また、歩留まりがそれほど良くなかった。ただこれに続き1999年11月頃から実装されたK75コアは、プロセスを0.18μmに微細化(K7コアは0.25μm)にした結果、歩留まりがぐんと上がり、入手性も大幅に改善された。
ついでにK75コアをベースに銅配線を利用したK76コアも混在するかたちで流通するが、このK76コアの流通量は少なかったこともあり、とくに問題にはならなかった。結果、Athlonの供給量増加にあわせて、KX133搭載マザーボードはよく売れることになったわけだ。
AMDはSlot Aに続き、2000年からはSocket AのフォームファクターにCPUを切り替えると以前から発表していたが、インテルがSlot 1とSocket 370の2種類のCPUをしばらく併売したように、AMDもSlot 1とSocket 370の製品をしばらく併売した。そのため、Socket Aが待ちきれないという人はK75コアのSlot A Athlonを購入し、その際にKX133搭載マザーボードを選ぶことが非常に多かった。
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