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山谷剛史の「アジアIT小話」 第44回

「Android S III」でも巻き返せない!? 山寨機の黄昏

2013年04月02日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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余裕がなくなってきた山寨機市場

タブレットフロアは健在

 スマートフォンの売り場は減っている一方、タブレットについても店舗が増えることもなければ、空き店舗も目立たない横ばい状態で、スマートフォンがダメだからタブレットに行く、という流れは確認できない。

「Android S III」は複数の店で販売を確認

「Android S III」は複数の店で販売を確認

若干ノンブランドのネットブックも売られている

若干ノンブランドのネットブックも売られている

 活気のある山寨機ビルの一階においても、以前よりも「Android S III」など露骨にブランド名だけ似せたスマートフォンと、デジタル音痴な中高年向けの電卓のようなフィーチャーフォンばかりが売られていた。ニセモノ用の箱や銀色のメーカーロゴシールも以前より多くの店が扱っているような気がした。

早くも時計型スマートデバイスが登場

早くも時計型スマートデバイスが登場

老人向けケータイも人気商品

老人向けケータイも人気商品

メーカーロゴやブランドロゴを販売。1個2.5元(38円)なり

メーカーロゴやブランドロゴを販売。貼り付ければニセモノメーカー製品のできあがり。1個2.5元(38円)なり

どっかでみたようなさまざまなシールをズラリと揃える店舗も

 数年前に山寨機が元気だった頃は「ニセモノ撃退」をうたった垂れ幕がかかっていたが、それは今は消えている。ニセモノ業界存続がかかるなか、そんな悠長な事は言ってられない、ということか。

 昨年深センの山寨機市場を訪問したときは、スマートフォン用の予備バッテリーの店舗が急増したことを記憶している。だが、バッテリー販売店も一過性だったのか、あっという間になくなった感がある。

 確かにIT系メディアでは予備バッテリーのレビューや提案こそしているけれど、あまり保有しているユーザーに会ったことがない。売れなさそうなら一斉に扱わなくなるというスピード感は日本にはないものだ。

スマホ用シールやケースが次のブーム!?

キラキラとしたデコアイテムの卸業者

キラキラとしたデコアイテムの卸業者

かつての山寨機販売店のフロアはスマホケースだらけに

かつての山寨機販売店のフロアはスマホケースだらけに

 バッテリー販売店が激減した代わりに登場したのが、スマートフォンに貼り付けるキラキラとしたデコアイテムやスマートフォンカバーの類である。深センの山寨機市場のトレンドがスマートフォン用カバーなどに一気に移ったため、ものすごい数の店がものすごい数のスマートフォンケースを売るようになった。

 今のところ変わり種のスマートフォンケースは出ていないが、そのうちぶっ飛んだケースが出るのだろうか、気になるところではある。

 まとめると、今後中国国内や途上国の携帯電話マーケットにおいて、ノンブランドのスマートフォンは数が減るが、タブレットは継続してマーケットに投入される。予備バッテリーは扱いが減る一方、スマートフォン用ケースは今まで以上に身近で安くなるのではなかろうか。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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