余裕がなくなってきた山寨機市場
スマートフォンの売り場は減っている一方、タブレットについても店舗が増えることもなければ、空き店舗も目立たない横ばい状態で、スマートフォンがダメだからタブレットに行く、という流れは確認できない。
活気のある山寨機ビルの一階においても、以前よりも「Android S III」など露骨にブランド名だけ似せたスマートフォンと、デジタル音痴な中高年向けの電卓のようなフィーチャーフォンばかりが売られていた。ニセモノ用の箱や銀色のメーカーロゴシールも以前より多くの店が扱っているような気がした。
数年前に山寨機が元気だった頃は「ニセモノ撃退」をうたった垂れ幕がかかっていたが、それは今は消えている。ニセモノ業界存続がかかるなか、そんな悠長な事は言ってられない、ということか。
昨年深センの山寨機市場を訪問したときは、スマートフォン用の予備バッテリーの店舗が急増したことを記憶している。だが、バッテリー販売店も一過性だったのか、あっという間になくなった感がある。
確かにIT系メディアでは予備バッテリーのレビューや提案こそしているけれど、あまり保有しているユーザーに会ったことがない。売れなさそうなら一斉に扱わなくなるというスピード感は日本にはないものだ。
スマホ用シールやケースが次のブーム!?
バッテリー販売店が激減した代わりに登場したのが、スマートフォンに貼り付けるキラキラとしたデコアイテムやスマートフォンカバーの類である。深センの山寨機市場のトレンドがスマートフォン用カバーなどに一気に移ったため、ものすごい数の店がものすごい数のスマートフォンケースを売るようになった。
今のところ変わり種のスマートフォンケースは出ていないが、そのうちぶっ飛んだケースが出るのだろうか、気になるところではある。
まとめると、今後中国国内や途上国の携帯電話マーケットにおいて、ノンブランドのスマートフォンは数が減るが、タブレットは継続してマーケットに投入される。予備バッテリーは扱いが減る一方、スマートフォン用ケースは今まで以上に身近で安くなるのではなかろうか。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
この連載の記事
-
第204回
トピックス
必死に隠して学校にスマホ持ち込み!? 中国で人気のスマホ隠蔽グッズは水筒に鏡に弁当箱 -
第203回
トピックス
死んだ人をAIを動かすデジタル蘇生が中国で話題! 誰もが「死せる孔明生ける仲達を走らす」時代に!? -
第202回
トピックス
停滞感があった中華スマホだが、生成AIが盛り返しのきっかけになるかも -
第201回
トピックス
ようやく高齢者にスマホが普及し始めた中国 ECで爆買い、そして詐欺のカモにされることも -
第200回
トピックス
世界で台頭する新興中国ガジェットブランド総ざらい 有名になる前に知っておきたい -
第199回
トピックス
中国の寒冷地ではEVは不人気!? スマホは大丈夫? 中国の極寒環境のIT事情 -
第198回
トピックス
世界トップのIoT機器ラインアップを抱えるシャオミ でも来年にはEVに追いやられてしまうかも!? -
第197回
トピックス
中国でiPhoneがピンチ!? すぐには消えないだろうが、脱iPhoneは進むかもしれない -
第196回
トピックス
中国でシェアマッサージチェアが大量導入され、そしてトラブルあれこれ発生 -
第195回
トピックス
中国の真面目版2ちゃんねる「天涯社区」が終了 ネット文化の変化の波に呑まれる -
第194回
トピックス
光るワイヤレスイヤホンから動画ECサイトまで、元アリババの事業部長が取り組む日本での本気ビジネス - この連載の一覧へ