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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第112回

ソニー製タブレットの再始動!

ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る

2013年04月01日 11時00分更新

文● 西田 宗千佳

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「お得だが色々搭載」なドコモ版か、「シンプル」なWi-Fi版か

 ソニーのタブレットは、色々意欲的な試みがあったものの、「タブレットそのもの」としての魅力で、他のタブレットに勝てない部分があった。Xperia Tablet Zでは、何よりもそこが良くなっている。Androidで10型クラスを選ぶのであれば、ファーストチョイスとして検討できる、十分な完成度を備えている。

 ただし、最後に注意点をひとつ。

 Xperia Tablet Zには、LTEを内蔵したモデルと、WAN系を内蔵せず、Wi-FiのみのモデルにあたるXperia Tablet Z SGP312JPが存在する。この記事が掲載される時には、NTTドコモが販売するLTE内蔵版である「SO-03E」が、すでに発売済みだ。ただし、今回試用するのは、ソニー自身が販売する、俗にいう「Wi-Fi版」である。こちらの発売は4月13日を予定している。両者は、外観こそほとんど違いはないし、重量も違いはほとんどない。だが、機能面でいうと、違いは意外と多い。

 最大の違いはWANの有無だが、それ以外にも、Xperia Tablet Z SGP312JPには、ワンセグ・モバキャス(NOTTV)の受信機能がない。付属品も異なる。WAN版には卓上ホルダー/microSDカード(16GB)/ヘッドセットが付属するが、ACアダプターとUSBケーブルが付属しない。試用したXperia Tablet Z SGP312JPには、ACアダプターとUSBケーブルが付属するものの、他が付属しない。本レビュー中で紹介しているクレードル(ドコモ版では卓上ホルダという名称になっている)、キャリングカバーは別売である。そしてもちろん、WAN版は色々ついてくるが月額利用料金を伴う契約が必須で、Xperia Tablet Z SGP312JPは不要だ。

Xperia Tablet Z SGP312JPには、ACアダプターとUSBケーブルが付属

クレードルのほか、キャリングカバーも別売

 「どちらがいいか」という点が気になるが、正直、初期費用は割高になるものの、気楽に買うならXperia Tablet Z SGP312JPが有利ではある。本体ストレージは元々32GB内蔵されているので、microSDの併用は必須とまではいえない。Xperia Tablet Z SGP312JPにワンセグなどが内蔵されていない理由は、全世界で同一のモデルを販売する都合によるものだろう。

 またソフト面でも、WAN版にはNTTドコモのサービスを利用するために必要な各種アプリが組み込まれており、Xperia Tablet Z SGP312JPにはない。後者の方がよりグローバルモデルに近い。ドコモのサービス利用にこだわるのであればともかく、Androidタブレットとしての利用を重視するなら、もちろんXperia Tablet Z SGP312JPの方がいい。スマートフォンならともかく、タブレットでドコモのサービスが必須という人は少なかろう。

 5万9800円(ソニーストア価格/2013年3月29日現在)というXperia Tablet Z SGP312JPの価格が、ライバル製品に比べ割高であるのが、少々残念ではある。

お勧めする人
・薄い10型タブレットを求めている人
・防水のAndroidタブレットを求めている人
主なスペック
製品名 Xperia Tablet Z
型名 SGP312JP
直販価格 5万9800円(ソニーストア価格/2013年3月31日現在)
CPU Qualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064(1.5GHz)
メインメモリー 2GB
ストレージ 32GB
ディスプレー(最大解像度) 10.1型ワイド(1920×1200ドット/WUXGA)、マルチタッチ対応、モバイルブラビアエンジン2
通信機能 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)、MHL/DTCP-IP対応
カメラ機能 本体前面:有効画素数220万画素(CMOS Exmor R for mobile)、本体背面:有効画素数810万画素(CMOS Exmor R for mobile)
インターフェース microUSB端子、Bluetooth 4.0
カードスロット microSD/microSDHC/microSDXC(64GB対応)
NFC 対応
センサー GPS、3軸加速度、ジャイロ、デジタルコンパス、照度
防水/防塵 防水IPX5/7、防塵IP5X
テレビ機能
サウンド機能 ステレオスピーカー、マイク、ヘッドホン端子、S-Force フロントサラウンド 3D
本体サイズ/重量 約幅266×奥行き172×高さ6.9(7.2)mm/約495g
バッテリー駆動時間 動画再生時:約10時間、音楽再生時間:約110時間、ウェブ閲覧(Wi-Fi)時:約8.2時間
OS Android 4.1

筆者紹介─西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。

 近著に

などがある。

 最新刊は「これ1冊で完全理解 電子書籍(日経BPパソコンベストムック)」(監修、日経BP)。

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