西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第112回
ソニー製タブレットの再始動!
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る
2013年04月01日 11時00分更新
Snapdragonに移行して完成度アップ、バッテリー動作時間も優秀
中身についても、Xperia Tablet Zとこれまでのソニー製タブレットでは大きな違いがある。
プロセッサーは、NVIDIAのTegraシリーズから、QualcommのSnapdragon S4 Pro(クロック周波数1.5GHz)に変更になっている。このプロセッサーは、今期のハイエンドスマートフォンのほとんどで使われているベストセラーであり、性能も十分。兄弟機といえるXperia Zとも共通だ。同様に、NFCやGPSを搭載し、メインメモリーが2GBであるなど、Xperia Zとの共通項は多い。開発の統合による効率化を狙った部分が見て取れる。
Tegra 3と比較した場合、厳密に3D性能などを計測すれば劣る部分もあるのだろうが、普通に使う限り不快に感じる部分はまったくない。むしろ動画の再生パフォーマンスについては「より良くなっているのでは」と感じる。ネットワーク経由で1080pから480pまで、いくつかの動画を再生してみたが、コマ落ちなどは感じられず、快適に思えた。
筆者宅には、ソニー・コンピュータエンタテインメントのネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」もあるため、こちらでの動画視聴も行なったが、nasneとの連携が可能なアプリ「RECOPLA(レコプラ)」があるため、操作の面でもかなり快適だった。
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RECOPLA(レコプラ) | |||
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価格 | 無料 | 作者 | ソニー |
バージョン | beta | ファイル容量 | 8.8MB |
対応デバイス | Android Tablet | 対応OS | Android 4.0以降 |
パフォーマンスよりも好感触だったのは、発熱のなさだ。元々Snapdragonは発熱が少ないことで知られているが、Xperia Tablet Zも発熱を感じる部分はほとんどない。本体の右手側の裏面が、若干暖かくなる(計測上は、他の部分より2度程度)こともあったが、気になるほどではない。
ディスプレー解像度は、旧モデルの1280×800ドットから、1920×1200ドットへジャンプアップしている。ppiにすれば224ppiだ。この点は、特に電子書籍などを利用する場合、間違いなくプラスになる。10型クラスのベストセラーであるiPadや、Nexus 10などの「高解像度・10型クラス」製品が他にあり、解像度だけでいえばこれがベストではないが、少なくとも現状において、10型クラスを買うならこのくらいの解像度は欲しい。そういう意味においても、マイナスではない。
バッテリー動作時間も優秀といっていい。今回は、前出の「RECOPLA」を使い、nasne内の地デジ番組を無線LAN経由で連続再生し、その時間を計測したが、約8時間25分の再生が可能だった。カタログスペックでは、Wi-Fiでのウェブ閲覧時に「約8.2時間」となっているので、それより若干長かったことになる。おそらくは、動画再生支援機能などによる負荷低減が効いているのだろう。
ソニーとソニーモバイルの協力によるカスタマイズ点としては、動画再生時や特定アプリケーションでの写真表示時の発色傾向を良くする「モバイルブラビアエンジン2」の存在が挙げられる。結果、Xperia Tablet Zでの画質はかなり「鮮明でくっきり」したものになっている。一見して、好ましいと感じる人が多いだろう。
ただし、この機能による色調調整は「エンハンス」的な意味合いがあるため、色が自然になるわけではない。パソコンや他のスマートフォンなどに写真を転送すると、色合いが違って見える時がある。特に、Xperia Tablet Z自身で撮影した映像などの場合に注意が必要である。これは、現状のスマートフォン・タブレット市場において「自然さより記憶の中の色に近い」ものが求められている傾向と、無縁ではあるまい。
もちろん、気に入らなければ設定でオフにできる。色の調整はできないが、自分がどちらの色を好むかで判断しよう。たいていの場合、「オン」のほうを好むとは思うが。
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