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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第20回

米国のビデオブロガーと東北被災地をテクノロジーで巡る旅

2013年03月31日 14時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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iPhoneで使える通訳システムが
取材旅行をサポート

 CaliさんとJohnさんは、日本に取材に行くんだと話すと、周囲の友人から止められたといいます。「放射能で汚染されているんでしょ?」「危険だから行かない方がいいよ」そう口々に言われながら日本にやってきたそうです。そこに、彼らが日本からキャストをする意味合いが明確に分かります。つまり、日本の現状の正しい情報が英語できちんと伝わっていないのです。

 米国でも、9.11やハリケーン・カトリーナ、サンディなどのテロや災害に直面しており、Johnさんは実際にワシントンで9.11を目の当たりにしています。社会全体へのインパクトはいずれも大きいものでした。しかし被害地域は限定的です。一方の東日本大震災は東北一帯の広いエリアに地震や津波や原発事故などの様々な災害が重なりました。これが大きな違いだと指摘していました。

 今回取材先のアレンジをしていただいたのが、公益社団法人助けあいジャパンです。代表理事の野田祐機さんが被災地での取材工程とインタビューをアレンジしてくださいました。そしてiPhoneやiPadのFaceTimeを活用してテレビ電話で翻訳サービスを提供するアールシステムの「テルテルコンシェルジュ」で、彼らが被災地の方に直接インタビューする手段を提供しました。

テルテルコンシェルジュ App
価格無料 作者Rsystem Co., Ltd
バージョン3.5 ファイル容量33.4 MB
カテゴリービジネス ユーザーの評価(3.5)
対応デバイス 対応OSiOS 4.3以降

 もちろんこれまでも、検索するなどしてニュースを手に入れることはできました。そして被災地に行って自分の目で確かめるだけでも、ニュース以上の情報を得ることができます。しかしその場にいる人がどんな経験をして、今何を思っているか、という点は、直接会話をしなければ手に入れることができない情報です。そこで、被災地の方に直接話を聞く取材を、通訳者の同行なしに実現できる「テルテルコンシェルジュ」は非常に威力を発揮していました。

 ビデオキャストのホストであるCaliさんが英語で質問し、それをオペレーターが日本語に訳して質問、顔を見ながら日本語で答えた結果を再びCaliさんに英語で伝える。もちろん直接喋るよりは時間がかかりますが、通訳者を介したインタビューと変わらない感覚で、しかも表情を読み取りながら伝えるため、機械翻訳ではできない感情が伝わる通訳を、FaceTimeで実現していた点には驚かされました。

気仙沼の復興屋台村 気仙沼食堂でお店を出す菊池幸江さんに、テルテルコンシェルジュを使って英語でインタビューするCaliさんとJohnさん

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