国内最大のポータルサイトを運営するヤフーは昨年4月以降、「Only1戦略」をキーワードに矢継ぎ早に施策を打ち出してきた。特に、カカオジャパンとの資本提携やサイバーエージェントからのFX子会社の買収、グリーとの新会社設立など、さまざまな会社との提携・協業が話題になった。
ヤフー代表取締役の宮坂学氏は、「ヤフーだけで(ユーザーのニーズに対して)いい回答を提示できないのであれば、最も優れた回答を持っているパートナーと組んで、我々自身の回答の質を上げる」と明言。そして今日、ヤフーの「パートナーリスト」に新しく「LINE」のNHN Japanが加わった。

ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏と、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏
提携分野は検索領域。NHN Japanが運営するキュレーションサービス「NAVERまとめ」用検索エンジンの開発をヤフーが担当する。Yahoo!検索の検索結果でNAVERまとめ記事のリンクを表示するほか、NAVERまとめ内の検索エンジンとしても利用される。
しかし、ヤフーとNHN Japanは「カカオトーク」と「LINE」をはじめ、競合サービスも多い。なぜライバルをパートナーに選んだのか。宮坂氏の言葉を借りれば「NHN Japanがキュレーションメディアとして圧倒的な回答力を持っているから」ということになる。ここで重要なのは「キュレーション」という言葉だ。
キュレーションとは、雑多な情報の中から自分の好みのものを選別し、まとめること。美術館や博物館の学芸員を「キュレーター」というが、展覧会での彼らの役割を想像すれば理解しやすいだろう。NAVERまとめはユーザーの興味に応じて、リンクや画像などを集約できるサービス。月間12億2800万のPV数を誇る一大プラットフォームだ。
宮坂氏の狙いは、ロボットによる検索結果に人の手をかけたキュレーション情報を加えることだ。いま情報は人間が処理できる量をはるかに上回っているため、従来のロボット検索では欲しい情報にたどり着けないことも増えてきた。そこで、人の手で取捨選択し検索精度を上げるわけだ。
「Yahoo! JAPANの祖業は人の手でインターネットを分類することだった。現在もYahoo! カテゴリやYahoo! ニュースは編集者が手作業で記事を選んでいる。これからも、システムと人のハイブリッドで地図を描いていきたい」と宮坂氏は語った。

検索システムの系譜。ロボット検索の次としてキュレーションメディアの流行を予想している
