このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第118回

磁性流体もデザインも、全てはいい音が鳴るBluetoothスピーカーを作るため

ソニー高音質スピーカーはスマホの普及によって生まれた?

2013年03月30日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Bluetoothスピーカーの中で一番いい物を作る

―― ところでBluetoothは音が悪いという話があります。今回は標準コーデックより高音質なAACやaptXにも対応していて、その辺の配慮もあるかと思うんですが、Bluetoothをソースの質としてどう評価されていますか?

市村 反対に、聴かれてどう思われましたか?

―― 普段家で使っているBluetoothスピーカーより全然いいです。だから、じゃあ逆にソースはBluetoothでよかったのかとも思うわけです。AirPlayのような、もっと音のいいものもあるわけですが。

 まず、なぜBluetoothなのかと言えば、iPhoneであるとか、Androidフォンであるとか、コネクターの形状に縛られずにつなげられる。それと持ち運びができる。Wi-Fiを使ったソリューションもあると思うんですが、Bluetoothであればルーターのない環境でも使える。それがまずBluetoothでやるメリットです。AACやaptXには対応しましたが、高音質だからということではなく、それらの対応機器が増えてきたので、お客様の選択肢を広げられるようにしていこうということです。

市村 マーケティングの立場で言えば、スマートフォンやタブレット、デジタルミュージックプレイヤーもBluetooth化してきています。そういう多様なディバイスで音楽を楽しみたいというお客様が増えてきている印象です。例えばAirPlayなら、それに対応したアプリや、Wi-Fi環境がないと使えない。お客様の答えとしては、今はAirPlayよりもBluetoothの方が多いかなと見ています。

市村さんはマーケティングとして、2年先3年先を見据えているという。そのうえで「今はAirPlayよりもBluetoothの方が多いかなと」

 これはBluetoothが基本のモデルですから、私としては当然それを基本に音を作りこんでいます。その条件でどこまでよくできるかに挑戦していったという方が正しいですね。基本のスピーカーの性能を上げれば上げるほど、ソースが何であっても結果的に音はよくなるわけですから。

市村 お客様からも、音に対する評価は高いです。今までコンポを使っていた方から、初めてスマートフォンで音楽を聴く方まで。ワイヤレスで音のいいポータブルスピーカーがあったんだという、そこに評価をいただいていると思います。我々のSRS-BTV5というスピーカーは高いシェアを持っていますが、その次として、Bluetoothで本当に音のいいスピーカーを出していこうという段階に入ったところで、そこができてから次を考えたいですね。

―― じゃあ次に打つ手があるということですか?

 これ以上の音質を求める方は、Wi-Fiのソリューションなのかもしれない。ただ今の段階で、お客さまのニーズというのは、まだ大きなボリュームとしてはそこまで顕在化していない。そこを見極めてからですね。

 トレンドがありますからね。ちょっと前まではドッキングスピーカーだったわけですけど、スマートフォンが普及するにつれ、各社さんそれぞれのコネクターをお持ちですから、それが難しくなるわけですよね。そこに出てきたのが無線インターフェースで、そのうちのひとつがBluetoothなのかなと思うんです。あくまでも、その今のトレンドの中で一番いい物を作ろうと。

 まずBluetoothスピーカーで、これだけ音がいいものがあるということが伝わってくれたら。それがファーストステップですね。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン