四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第118回
磁性流体もデザインも、全てはいい音が鳴るBluetoothスピーカーを作るため
ソニー高音質スピーカーはスマホの普及によって生まれた?
2013年03月30日 12時00分更新
音のよさを追求した結果のデザイン
―― なるほど、それでBTX500の薄さはクリアできたわけですね。
関 いや、それはまだ第一関門です。この薄さを実現させるために、このユニットが使えるというメリットは当然ありましたが。企画の要求が余りにも厳しいわけですね。
―― そんなに厳しいことを言ってくるんですか。
関 薄く、小さく、音をよくですから。これで薄さは突破できたわけですが、スピーカーとして音をよくするための構造というものがあるんです。それで薄くするために結果的に出てきたことは、スピーカーは極力セットの前に配置すること。要は奥まっていないことです。小型のスピーカーにはインテリア性を求められますし、そこにデザインが入ってくるとラウンドもする。ただ、今回はそれ以上に薄くという命題がありましたから、自動的にスピーカーとしてよい形状になっていったんですね。それが成功した要素のひとつだと思います。
―― 機能美的なことですね。
関 そうです。奇をてらったデザインにはならないんです。
岡 最初は企画意図としても「インテリアに溶け込むような」とか、そういう要求を出すんですけど、音のよさを追求していく中で、結局この形に帰結していったんですね。
―― 今までのソニーさんのBluetoothスピーカーだと、丸かったり、ユニットが天井を向いていたり、定位は考えていませんという形だったんですが、これはひと目でその方向じゃないことが分かる。
市村 SRS-BTV5ですね。
岡 あとはハンドルタイプ(SRS-BTM8)であるとか、筒型(RDP-NWV600B)とかいろいろあるんですけれども、そちらはBluetoothで音楽を楽しめるというコンセプトを重視していますので、用途に合わせた大きさや形を目指しているんですけど。BTX500は、音のよさを突き詰めて行ったら、最終的にこの形になったということですね。
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