最新パーツ性能チェック 第137回

2万円VGAの覇権を狙う「GeForce GTX650Ti BOOST」

テスト機の構成

　ではベンチ環境の説明に移ろう。先日レビューしたRadeon HD 7790とまったく同じ環境を使用している。良い機会なのでHD7790を含め、1万円～2万円台のお手ごろミドルレンジGPUを全部比較してみることにしよう。HD7790以外、クロックはすべてリファレンス準拠の定格仕様になっている。

テスト環境
CPU	Intel「Core i5-3570K」（3.4GHz）
マザーボード	ASUSTeK「P8Z77V PRO」（Intel Z77 Express）
メモリー	CENTURY MICRO「CAK4GX2-D3U1600/ELP」（DDR3-1600 4GB×2）
ビデオカード	GeForce GTX 660（ELSA「GeForce GTX660 S.A.C」） GeForce GTX 650Ti（ELSA「GeForce GTX650Ti S.A.C」） Radeon HD 7850（AMDリファレンスカード） Radeon HD 7790（SAPPHIRE「HD7790 1G GDDR5 PCI-E DL-DVI-I+DL-DVI-D/HDMI/DP DUAL-X OC VERSION」） Radeon HD 7770（AMDリファレンスカード）
SSD	Intel「SSDSC2CT240A4K5」（240GB）
電源ユニット	Seasonic「SS-760KM」（760W、80PLUS GOLD）
OS	Windows 8 Professional（64bit)
グラフィックドライバー	Catalyst 13.3 beta3 GeForce 314.12（Beta） GeForce 313.12（Beta、GTX650Ti BOOSTのみ）

オーバークロック版HD7790を超えてきた！
3DMark

　それでは各種ベンチマークでの比較に入る。最初は「3DMark」の「Fire Strike」テストだ。設定は標準設定そのままを使用する。

3DMark11　Fire Strike　(単位：score)　better→

　GTX660に対し約13％減のパフォーマンスとなっているが、これがGTX660からのスペックダウン分の差だ。GTX660が2万3000円前後でGTX650Ti BOOSTが1万9800円なら、この性能差はかなりお得といえるだろう。なぜならこの下のGeForceとなると、性能ががっくりと落ち込むGTX650Tiか、それともTXAA非対応＆ワットパフォーマンスの悪いGTX560を選ぶしかないからだ。

バトルフィールド3

　次は「バトルフィールド3」。解像度は1920×1080ドット、画質“最高”設定の状態で、4面開始時のシーケンスを「Fraps」で計測する。

Battlefield 3　最高画質/1920×1080ドット(単位：fps)　better→

　GTX650Tiではカクつきが酷かった最高画質＆フルHDの設定でも、GTX650Ti BOOSTなら別次元のように滑らか。HD7790もその点頑張っているが、今回テストしたGTX650Ti BOOSTはリファレンス版でこの性能。つまりオーバークロック版が出れば、さらにGTX660に肉薄することになる。

シムシティ

　続いては「シムシティ」だ。解像度は1920×1080ドット、画質は一番重い設定（フィルターは“ナチュラル”）にし、入門ガイドの街の上をカメラで飛びまわった際のフレームレートを「Fraps」で計測する。

CIM CITY　最高画質/1920×1080ドット(単位：fps)　better→

　ドライバの最適化がまだなのか、それともスペックダウンの効果が効いているのか切り分けは難しいが、GTX660との差はバトリフィールド3よりも顕著だ。しかし内容的にはHD7850とほぼ同じレベルに達しており、低価格ミドルレンジの勢力図が一気に変わったことがわかる。

トゥームレイダー

　次はRadeon系に最適化された最新ゲーム「トゥームレイダー」で検証する。解像度1920×1080ドット、画質は“Ultimate”を使用し、ゲームに組み込まれたベンチマーク機能を用いて比較しよう。

Tomb Raider　Ultimate画質/1920×1080ドット(単位：fps)　better→

　Radeon系だと髪の毛の挙動をGPUでシミュレートするため、フレームレート的にはRadeon不利になることがわかる（それでもRadeon系の髪の毛表現は一見の価値ありだ）。GTX660でも最低fpsが30以下なことから、かなり負荷の高いテストのようだが、最高fpsはGTX660とGTX650Ti BOOSTでほとんど差がない点に注目したい。