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業界人の《ことば》から 第32回

ERPを含む業務アプリケーションのスイート製品に新たなラインナップ

SAPジャパン安斎社長が「歴史的発表」と豪語する新製品

2013年03月26日 09時00分更新

文● 大河原克行

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リアルタイムトランザクションとアナリティクスを
単一のインメモリープラットフォーム上で実現

 安斎社長はその理由を、開発の経緯に触れながら次のように説明する。

 「SAP HANAのスタートは2006年。ドイツのポツダム大学の20代の学生たちが、インメモリー上にすべてのデータベースを載せて、処理することを考え、ゼロから作り始めた。当時は、こんなものは10年経っても、20年経ってもできないと考えられていた。その後、ドイツに本社を持つSAPが、これを引き継いで開発を行い、2010年にSAP HANAとして製品化したのが実用化の第一歩であった」

 SAP HANAの世界初のユーザーは、日本の野村総合研究所。大量のデータ解析などにこれを利用していた。

 「だが、その当時は情報系の解析を行うものであった。今回のSAP Business Suite powered by SAP HANAによって、いよいよ勘定系でもHANAが利用できるようになる。10年以上かかるといわれていたものが、最初の発想から7年でここまで進化させることができた」と、安斎社長は語る。

 SAPジャパンでは、SAP Business Suite powered by SAP HANAによって、リアルタイムトランザクションとアナリティクスを、単一のインメモリープラットフォーム上で実現。同社が目指すリアルタイムエンタープライズを再構築できる製品だと表現する。

スピードが求められる現代のビジネスにおいて、トランザクションとアナリティクスがひとつのプラットフォームでできるのは大きな武器となりうるか

 「予測困難な環境においてもリアルタイムでの業務を遂行でき、商機を失うことがない。トランザクションの分析と予測で瞬時に問題を先取りできるようになる。また、トランザクションシステムとアナリティクスシステムが分断されていたために発生する重複したデータやシステムにともなう複雑さも解消できる」というのが大きな特徴だ。

 安斎社長の言葉を借りれば、「時間の制約、場所の制約、利用者の制約をなくし、リアルタイムビジネスが実現できる新たなプラットフォーム。唯一残る制約が、人のイマジネーションだけになる」という大きな変革を促すプラットフォームになる。

 これまでのSAP HANAは、2012年度実績として、前年比2倍となる国内50社以上に導入。しかも、その約4割が既存のSAPユーザー以外だという。

 また、国内のHANA関連サービス受注は約12倍に達しており、「テクノロジー先行ではなく、実業に寄与する活用領域にフォーカスが当たりはじめている」とその変化を指摘する。

 そうしたなかでのSAP Business Suite powered by SAP HANAの投入である。

 「41年前の創業時に掲げたリアルタイム経営を本当の意味で実現する1年になる」と、SAP Business Suite powered by SAP HANAによる事業の拡大に、安斎社長は意欲をみせる。

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