ワットパフォーマンスでは
最強の座を奪還?
続いては消費電力の比較だ。Southern Islands世代はライバルのKeplerよりもワットパフォーマンスが悪いのは既知の事実だが、PowerTune改良でどこまで改善できるのかが見どころだ。
ここでは「Watts Up? PRO」を使い、システム起動後10分後および「バトルフィールド3」テスト開始から10分後の値を計測した。同じタイミングで「GPU-Z」によるGPUピーク温度も合わせて計測した。
テストカードがオーバークロック仕様であるせいか、アイドル時は既存の製品より高めになっているが、高負荷時の消費電力は性能で近いHD7850ではなく、HD7770寄りになっている点に注目。ライバルとの比較でも、GTX650TiとGTX660の間のいい感じの場所に着地している。
これだけではピンと来ないので、3DMarkのスコアとバトルフィールド3の最高fpsそれぞれで、ピーク時の消費電力1Wあたりの値に換算してみた。ちなみに3DMarkの「Fire Strike」だと、Combined Test実行時の消費電力と今回の高負荷時消費電力はほとんど同じ消費電力となる。
AMDがドライバの最適化に力を入れている3DMarkでは、HD7850やGTX660を押さえてワットパフォーマンスは最高。バトルフィールド3ではGTX660に微妙に負けてはいるものの、それ以外のGPUより優秀な結果を示している。HD7790の改良版PowerTuneは、意外にも素晴らしい結果を出していると判断できる。
今回のGPU温度比較はあまりアテにはならない。HD7790のテストカードが高性能クーラーを採用したオーバークロック仕様なのに対し、他のRadeon勢はリファレンスモデル、GeForce系の2枚も静音性重視の高性能クーラーであるためだ。あくまで今回のテストカードは「高性能が出せる割にすごく冷える」程度の認識としておきたい。
気になるライバルの動き
HD7790はコアゲーマーにとっては「わりとどうでもいい」性能・価格帯の製品であることは否定できない。むしろ「改良版PowerTunesを使ったHD7970を出して!」と言いたくなるだろう。
しかしライトゲーマーにとっては話は別だ。原稿執筆時点では価格不明ではあるが、価格はHD7770以上、HD7850以下に落ち着くと思われる。ライトゲーマーが最新グラフィック環境を堪能するには、とても良い選択になるだろう。
ここで気になるのはライバルNVIDIAの動向。今回AMDが突如HD7790をリリースした理由は、NVIDIAも同じような製品を準備しており、出鼻をくじくための発表という観測が強い。果たしてこの噂が本当かどうか、今後の両者の動向からは目が離せない。
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