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独自アルゴリズムでデータアクセス高速化を実現

わずかな追加投資で性能3.5倍!HP Smartキャッシュ登場

2013年03月22日 10時00分更新

文● 谷崎朋子

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3月21日、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は、「HP ProLiantサーバー Gen8」のHP Smartアレイコントローラーを拡張した新機能「HP Smartキャッシュ」を発表した。データの用途に応じて保存先をインテリジェントに判断する同機能は、3万円台と低価格で、中小企業のビッグデータ戦略を後押しする。

OLTPの高速処理・大容量のニーズに応える新機能

 HP Smartキャッシュは、データのアクセス傾向を自動分析し、アクセス頻度の高いデータ(ホットデータ)をSSDなどの高速デバイスにキャッシングする機能だ。HP ProLiant Gen8を中心に推進している“自働化”技術の最新機能となる。

 同機能は、HP Smartアレイコントローラーにキャッシュロジックをファームウェアとして実装・拡張したもので、内蔵ディスクやDAS、SANなど、各種データ保存領域内のデータを適切に自動配置する。1サーバーに対して、SSDを最大32本までキャッシュ領域として割り当て可能だ。1サーバーライセンスで3万425円(税込)と低価格なのも、大きな特徴といえる。

HP Smartキャッシュの概要

 同機能は、OLTP(オンライントランザクション処理)で求められるI/O性能と容量の課題を解決する。日本HP インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 本部長 宮本義敬氏は、現在ビッグデータ活用の増加やサービスプロバイダーによるI/O性能の強化に伴い、フラッシュデバイスの利用が拡大していると言う。しかし、フラッシュデバイスは高額で、高速処理に加えて将来的な保存領域の増加が見込まれるOLTPのような分野では、投資負担が大きすぎる。しかし、低価格化した大容量ディスクを随時追加するアプローチでは、十分な性能を得るのが難しい。「いずれにも対応可能な、隙間を埋める機能としてHP Smartキャッシュを開発した」(宮本氏)。

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー・ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 本部長 宮本義敬氏

 アクセス傾向の自動分析は、独自開発のアルゴリズム「HP Smart Algorithm」が担当する。特筆すべきは、データへのアクセス頻度を見る以外にも、データ間の関連性も加味してキャッシングする点。「データベースやWebサーバーでのアクセス傾向を参考に、このデータへのアクセスがあれば関連データにもアクセスがあるかもしれないと自働判断し、キャッシングする。これによって、より効果的にアクセスを高速化ができる」と、日本HP インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏は説明する。

日本HP インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏

データキャッシングソリューションを幅広い展開

 HP Smartキャッシュを採用することで、投資対効果は飛躍的に向上する。同社では、300GB 10K SAS HDD×12基のデータベースと、キャッシュ用の100GB SATA MLC 6G SSD×1基の構成で、オンライントランザクション処理(OLTP)をシミュレーションした。OLTPは、株式仲介業者が金融市場とやりとりしつつ、顧客からの取引要求を処理し、関連情報を更新するという、その結果、性能は3.5倍に向上。「DB領域をすべてSSDにすれば約4倍の性能アップが可能だが、約81%の追加投資が必要になる」(中井氏)。

HP Smartキャッシュを活用した場合の、OLTPにおけるシミュレーション結果

 今回の新機能を皮切りに、同社ではデータキャッシングソリューションの幅広い展開を開始する。中井氏は、2013年後半にはキャッシュにPCI直結のフラッシュストレージを導入したうえ、ソフトウェアベースのDASソリューションをリリースすると述べた。さらに、大規模な仮想化やデータベース統合のニーズに備え、SAN連携で内蔵SSDやPCI直結フラッシュストレージをキャッシュに利用するほか、ソフトウェアベースのSANソリューションも投入する予定という。

2013年後半に向けたデータキャッシングソリューションのリリース予定

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