様々な業界に対してアプローチする組み込み型OS
また、Windows Embedded 8オペレーティングシステムファミリーにおいて、Windows Embedded 8 Industryは戦略的な位置づけを担うことになる。
それは、Windows Embedded 8 Industryの名称変更に象徴されるように、様々な業界に対してアプローチする組み込み型OSだからだ。
これまでのWindows Embedded POS Ready 7は、マイクロソフトから提供されるライセンスがPOSシステムでの利用を前提としていたが、Windows Embedded 8 Industryによって、それが撤廃されるともいえる。
世界的にみれば、一部ユーザーでは、Windows Embedded POS Ready 7をPOSシステム以外に活用していたケースもあったようで、名前とライセンス形態が、ユーザー利用の実態に追いついたともいえそうだ。
「Windows Embedded 8 Industryは、完成したプラットフォームとして提供されることで開発者の負担を減らせること、様々なデバイスや用途にあわせて、Windows 8の機能を選択して利用できること、各業界で利用されているバーコードリーダーをはじめとする各種周辺機器との連動ができること、OSの実装を効率的に行なえることなどが特徴に挙げられる。
マイクロソフトには、オンプレミスおよびクラウドを問わず、様々なプラットフォームがあり、こうしたサービスと連動させながら、パートナーと一緒になり、ユーザー企業がほしい製品として提案できる」と語る。
POSをインテリジェンスシステムに変貌させる
Windows Embedded 8
日本には、エンベデッド製品領域において、富士通、NEC、東芝テックといったパートナー企業がある。パートナー企業の中には、すでにWindows Embedded 8 Industryを採用した製品群の開発に着手。先頃、日本で開催されたリテールテックジャパンでも、パートナー企業からいくつかの製品が展示されていた。
さらに、Windows Embedded 8 Industryの投入にあわせて、「日本の顧客が持つ課題をパートナーとともに理解していくことが必要」(日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループOEM統括本部 エンベデッド本部 Windows Embedded BGリードのエステガシー・ギヨーム(Estegassy Guillaume)氏とし、パートナー戦略を加速させる姿勢をみせる。
「日本のパートナー企業は、幸いにも、流通業界だけでなく、幅広い業界にも対応できる能力を持っている。だが、新たな付加価値を提供できるという点では、最適なパートナーと手を組むことも必要だろう」とギヨーム氏は語る。
だが、日本において、WindowsをベースにしたPOSシステムの導入はまだまだ少ない。
これに対してギヨーム氏は、「これからPCベースのPOSシステムに移行するのは当然の流れだといえる。コストメリットや拡張性、最新機能をいち早く搭載している点で、PCベースのPOSシステムは競争力がある。さらに、今後、POSシステムを単なる集計機ではなく、インテリジェンスシステムとして活用したいのであれば、PCベースのPOSシステムを選択することが最適になる」と自信をみせる。
PCベースならではの特徴、Windows 8ならではの特徴が、今後強味になるというわけだ。
ボラディアン氏は、「Windows 8は、『再創造』をメッセージに進化を遂げたOSで、Windows Embedded 8では、このメッセージを直接的に使っているわけではない。しかし、Windows Embedded 8によって、近代的なアプリケーションを開発できるという声がパートナーや顧客から上がっており、まさに再創造を実現できるOSとなっている。革新的で、便利な環境を提案できる。そこに多くのユーザー企業が期待をしている」と語る。
マイクロソフトのエンベデッド製品は、Windows Embedded 8への進化によって、着実に事業拡大のチャンスをつかんだといえそうだ。
この連載の記事
-
第215回
PC
「クリエイティブ」に向かうWindows 10とSurfaceファミリー -
第214回
PC
日本企業の変革を象徴、世界最大規模の「Office 365」大型導入 -
第213回
PC
資生堂、オンライン会議中の顔を美しく見せる「Tele Beauty」を開発 -
第212回
PC
女子高生AI“りんな”は母親思いのカープ女子!? 自分の子供より返事が多いというユーザーも -
第211回
PC
Office 365が3ヵ月無料試用OK、セットアップも支援 - 働き方改革週間締め切りは9月30日 -
第210回
PC
Windows 10企業導入の障害は、WaaS(Windows as a Service)と180日ルール -
第209回
PC
アクア、DMG森精機 - IoTの協業発表が相次ぐ日本マイクロソフト -
第208回
PC
MS SQL Server 2016は、オラクルの牙城をいかに崩すか、PostgreSQLにどう対抗していくのか -
第207回
PC
起死回生の製品になるか? 「Microsoft Dynamics 365」 -
第206回
PC
2096名で挑む大規模ライフハック! - 日本マイクロソフトが掲げる”本来”のテレワーク -
第205回
PC
日本MSが開催イベント名称・内容を再編 - グローバルイベントとの名称統合を実現してほしい - この連載の一覧へ