ベトナムの首都ハノイ。時々訪れているがその街並みはそれほど変わらず、小規模な家電量販店が点在するようになった以外は、車が増えた程度の違いしか感じられない。
だが、見えないところでははっきり感じるほど物価が上がっていた。物価が上がるということは、交通費や食材が高くなり、生活が大変になるという一面があるが、一方で給料も物価上昇に追いつかんばかりに上昇し、日進月歩で進化するIT機器が体感的に安くなっていく、ともいえる。
スマホよりノートPCが主流のハノイ
実際、PCやスマホの販売現場を見ると、ベトナムでもモバイルな製品が身近になったんだなあと思う。「PlayStation 2」「PlayStation 3」という看板が目印のPS2(PS3)の「ウイニングイレブン」が遊べるゲーム屋が増えた感があるが、これも所得上昇に伴うものかもしれない。
2年前の連載記事「数年前とは大違い! ベトナムの首都ハノイで見つけたIT製品 」では、PCショップが集まる通りとして、リーナムデー通りを紹介した。
ハノイの市中心よりやや南側のハノイ工科大学周辺に電脳街があるとの情報を聞き、現地に行ってみれば、かつてのアキバのように通りにずらっとPCショップが並んでいた。
家電量販店でもノートPCのほうが売り場に大きなスペースを割かれ、場所に比例するように携帯電話・スマートフォンコーナー以上に人々がノートPCを物色している。
ノートPCが全盛だから、ノートPCを修理するショップや、中古の販売買取を行なうショップやレンタルサービスがあるショップもある。電脳街や家電量販店にはPC用アクセサリーもそれなりに売られているが、中身だけでなくパッケージまで中国で売られているものそのものが並べられている。じわじわと国境を越えて浸透してきているようだ。
また、家電量販店ではコンパクトデジカメもそれほどスマートフォンに押されてはいない。
ノートPC人気の理由はネットカフェ
このようにノートPCがいまだ人気の理由は、そこかしこに公衆無線LANを提供する店があり、甘いコンデンスミルクが入った濃厚なベトナムコーヒーを飲みつつ、そこでノートPCを広げて動画サイトやFacebookを見るなど息抜きすることがPCユーザーの間で習慣化しているため。
地方都市でも大都市でも「WiFi」の文字が書かれたカフェがあり、ベトナムの出先でのネット接続はすごく便利だ。
バイクや路線バスで移動中にスマートフォンや携帯電話をさわる人もいるが、バイクで乗りながらは危険だから路肩に止めて利用するしかなく、また盗難の危険がまとわりつくので、あまり移動中にタッチパネルとニラめっこするような人はいない。

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