ここ最近、企業Twitter公式アカウントの『ユルい』ツイートが立て続けに話題となった。ユーモアあふれるツイートで好意的に受け入れられた例が相次いだ一方で、不用意な発言によって炎上騒ぎも起きている。
先日、韓国のサムスン電子との資本・業務提携を発表したシャープの公式Twitterアカウントが発信したツイートは、その愛嬌のある内容で人々をなごませた。
突然の提携発表は世間を驚かせ、同社のTwitterアカウントには詳しい説明を求めるユーザーから問い合わせなどが殺到していた。そんな中、同社Twitterの『中の人』は、「本日の資本提携の発表に関しては、すいません、私から申し上げることはなにもありません『率直に言って、私はなにも、わかりませんし今後のことも知り得ません、ごめんなさい」と、事情を知らないことを素直に謝罪するとともに、「どうかこれからも、弊社製品を気にかけてください、その存在を知ってください。そして願わくは、好ましく思っていただき、さらにあわよくばみなさまの生活の中で使っていただけると、幸いです」と、理解を求めた。そしてさらに続けて、こう呼びかけた。
「私のことは嫌いになっても…シャープの製品のことは嫌いにならないでください」――。
元AKB48の前田敦子がグループから卒業を発表した際に放ったセリフをもじったこのツイートは、提携発表によって動揺していたユーザーたちの頬を緩ませ、気を静めさせるのに効果的だったようで、その後は『中の人』へのエールが多数寄せられた。
1ヵ月ほどさかのぼり、先月末には日立マクセルの公式Twitterアカウントが、なんとも自虐的なツイートを発信して、人々の笑顔を誘った。そのツイートとは、
「ウチのエコフル、ほとんど知られてねぇ…」――。
これは、その同日にパナソニックが充電池「eneloop」のデザインを刷新した新製品を発表したことを受けて発せられたもの。三洋電機の人気ブランドだった当時のデザインから大きく変わった目新しいそのデザインは、ネット上でも話題となり、日立マクセルTwitterの『中の人』も「eneloop、デザイン変わるんだ…」と言及していた。
話題となったeneloopに比べ、自社製品の知名度の低さを自虐的に嘆くツイートをその後も「出会えることが奇跡ってレヴェル(おい)」「いや、ホントどこに売ってるんでしょうね(おい)」などと立て続けに発すると、たちまち話題に。ユーザーに好意をもって受け入れられ、励ましの声が多数寄せられた。
通り一遍の企業PRでなく、消費者と『友達感覚』とも言えるほどの目線で発せられるそうしたユルいツイートは、ネットユーザーの間で人気を博しているが、その一方、不用意な発言が仇となり炎上騒ぎに発展してしまった例もある。それが次のツイートだ。
「ヘイトスピーチをまき散らすだけで、まるで何か世の中の役に立つことをやっている気になっているようなネット弁慶さんたちには、1度でいいから東北へ行ってボランティアでもしてきなよ、と言いたい。かなり本気で言いたい」――。
これはNHK広報の公式Twitterアカウントが2月に発したもの。同アカウントは、かねてよりNHKらしからぬユルいツイートが好評で、フォロワー数は54万人を超すほどの人気を得ているが、このツイートは賛否両論を呼び、その後もツイート内容の真意を繰り返し説明するなど、対応に追われることとなった。
多くのフォロワーを獲得するなど大きな拡散効果を生む一方で、使い方を一歩間違えれば一気に炎上してしまう危険性もはらんでいる『ユルい』ツイート。企業にとっても両刃の剣、といったところか。