在宅とアウェイのバランス
前項で説明したような3つのステップで考えてみると、先日話題になった米ヤフーのCEO、マリッサ・メイヤー女史の「在宅勤務禁止令」も少し理解できる。「過去への退行」など、ネットでは驚きをもって迎えられたこのニュースはご記憶に新しいと思う。上に挙げた「社会とコミットメントする」が「社内と社外」だけでなく、「自分のプロジェクトを上司や役員を納得させる」ことが含まれる。ヤフーの新しいカラーへのスリム化というか、スクリーニング(ふるい分け)として機能すると筆者は推測している。先日も、自分のソフトウェア業務を社内から中国に丸投げしていた、米大手通信社の社員がクビになったばかりだ。オフィス勤務だからこそ発覚した事件ともいえる。
この原稿やメルマガは自宅で執筆しているけれど、クライアントや協力会社のスタッフとの打ち合せは電話やメールよりも、顔を見ながら話すほうが多くの情報が得られることが多い。自分の感情や心のあり方、プロジェクトへの想いをメールなど、テキストに落とし込めない人も多いからだ。
たしかに、極論でいえば、オフィスでも在宅でも結果が良ければいいのかもしれない。しかし、マウスを片手にキーボードばかりを叩いていると、たまに、自分の作業の向うに消費者という生身の人間がいることをつい忘れてしまう。
誰かのシステムに従うか、自分のシステムをつくるか?
それはまた経営者にとっても同じこと。組織が生身の人間で動いていることを理解できれば、「社員を使い捨てても、利益を上げることが最優先」とはならないはず。問題は、誰かの都合で作った組織の「働く」システムに従うのか、自分で「働く」システムをデザインするのか。それは起業するとか、フリーランスになるという選択肢だけでなく、「所属してることの安心感」という幻想を捨てることだと筆者は思っている。
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