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小型のワイヤレススピーカーを音質で選ぶならコレ

Bluetoothでも高音質、ソニーの技術が実現させたスピーカー

2013年03月16日 12時00分更新

文● 四本淑三

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欠点は重量とサイズのみ

 問題は両機種とも、他社のバッテリー内蔵Bluetoothスピーカーと比べて、大きく重いことだ。少なくとも「こんなに小さいのに低音が出てびっくり!」というタイプの製品ではない。特にSRS-BTX500の直接のコンペチターは、BOSE「SoundLink Bluetooth Mobile speaker II※2」や、JAWBONE「BIG JAMBOX※3」になるだろう。どちらもバッテリー駆動型のBluetoothスピーカーとしては大型だが、それらと比べてSRS-BTX500※4とSRS-BTX300※5は遥かに大きく重い。

他に比べると大きく重いが、持てないほどでは決してない。だからキャリングケースも付属。スポーツ用品などに使われるポリウレタン系の素材で伸縮性がある

 そこで差がつくのは音質だ。BOSEのSoundLinkもノイズが低く低音もよく出るが、好きにつけ悪しきにつけDSP臭が強く、SRS-BTX500のような自然なバランスは感じられない。BIG JAMBOXもハイパワーで低域はよく出るものの、メインユニットとのバランスがもうひとつで、SRS-BTX500のような広帯域感はない。どちらの製品ともこのサイズの中では相当に高性能だが、特異な技術を使ったディメンションに余裕がある製品には敵わないのだ。

 見方を変えれば、コンペチターのスペックをある程度無視して、音質側に振ったのがSRS-BTX500だとも言える。この機種を選ぶなら、家庭内での据え置きを前提として、いざとなったら場所を変えたり、外でも使えるスピーカーとして考えた方がいい。

 個人的には、エンジニアリングの面白さと、機能主義的にまとめられたデザインという点で、往年のソニー製CDレシーバー「ZS-F1」に近い印象を持った。ゴテゴテしたデザインのラジカセが多い中で、単に見た目がすっきりしているという理由だけで私はこのモデルを買ったが、下手な小型スピーカーより全然音がいいので、ユニットのエッジがボロボロになるまで使い続けた。後にスタジオモニターに使われるほど音質面で評価されたらしいと知ったのは、つい最近のことだ。

両機ともスピーカー前面下部にはLEDのイルミネーションが。操作で明滅したり、ソースによって色が変わったり。これがない方がもっとストイックに見えてよかった気がするのだが、どうだろう?

 「Bluetoothで音楽を聴く」と言えば、圧縮音声時代の悪しきリスニングスタイルの象徴のように言われることもあるが、私はそうは思わない。主な音楽ソースがスマートフォンで、その利便性が気に入っているカジュアルなユーザーに、もしデザインのよさでこうしたスピーカーを選んでもらうことができたら、それと意識せずにいい音を聴いてもらえる機会になり得る。だからBluetoothでも音にこだわった製品が必要なのだと思う。

※2 BOSE SoundLink Bluetooth Mobile speaker II 幅244×高さ130×奥行48mm、1.3kg

※3 JAWBONE BIG JAMBOX 幅256×高さ93×奥行80mm、1.23kg

※4 SONY SRS-BTX500 幅385×高さ152×奥行65mm 、約2.0kg

※5 SONY SRS-BTX300 幅341×高さ115×奥行58mm(スタンドを開いた状態で奥行きは72mm)、約1.6kg



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


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