ぶっ飛んでいるようで、実はしっかりとまとまったストーリー展開
『Hotline Miami』が高い評価を受けている理由として、ゲーム的なおもしろさだけでなく、ストーリー面での味わい深さもあげられます。トップビューで血みどろになっていくゲーム画面を見て『スマッシュT.V.』のような軽いノリのバカゲーを思い浮かべる人もいるかと思いますが、本作のストーリージャンルを定義するのであれば、“サイコサスペンス”になるかと思います。
ゲームをスタートし、簡単なチュートリアルを終えると、まずマスクをした謎の人物たちとの会話シーンが始まります。馬、鶏、梟のマスクをかぶった3人の人物から、主人公についてなにやら思わせぶりなことを言われますが、この時点ではまったく意味はわかりません。続いてのシーンは、主人公が住むマイアミのアパートの一室。留守番メッセージを受けて、主人公宛に届けられたクッキーの箱を開けると、中に入っていたのは脅しのような“依頼”と鶏のマスクでした。
こんな得体の知れない依頼をこなすため、主人公はロシアン・マフィアたちを血の海へと沈めます。しかも、依頼はこれで終わったわけでなく、次の依頼、また次の依頼が主人公の部屋の電話にかかってくるのです。なぜ主人公は、この依頼を受けてしまうのか? そしてチャプターの合間に挿入されるマスクをした謎の人物たちとの会話が意味するところは……。
このように、物語はわけがわからないことだらけの状態から始まり、ゲームが進むに連れて1つずつパズルのピースが埋まっていくかのように謎が明かされていくのです。“サイコサスペンス”につき、ストーリーの内容についてこれ以上は書きませんが、最後までプレイすれば、タイトルの“Hotline”が意味するところが理解できるかと思います。
『Hotline Miami』は、繰り返しプレイしたくなる中毒性があるものの、全体としては数時間でクリアできる小粒なタイトルです。ただ、それだけにストーリーは間延び感もなく簡潔にまとまっており、ちょうどショートムービーを1本見るぐらいの感覚で楽しめます。レトロ調のグラフィックというオブラートに包まれているとは言え、かなりグロくてエグい内容なため大手を振ってオススメはできませんが、暴力的でイカれたストーリーを受け止められる大人の方に、ぜひとも体験してもらいたい作品です。
Copyright 2012 Dennaton Games. All Rights Reserved.
この連載の記事
-
第63回
PC
炎の十番勝負! オンラインゲームガチンコPR対決!最終回 -
第62回
デジタル
レノボ初投入のゲーミングPCは見た目も中身もスゴかった -
第60回
デジタル
相変わらず時間ドロボウな『シャイニング・アーク』のプレイレポートをお届け -
第59回
デジタル
誰でも平成の孔明になれる三国志ゲーム -
第58回
デジタル
ド直球ファンタジー作品『大連撃!!クリスタルクルセイド』を紹介 -
第57回
デジタル
天空の前にまず海底!『バイオショック』を堪能してみてくれないか? -
第56回
デジタル
超骨太なロボットACT『機装猟兵ガンハウンドEX』 -
第55回
デジタル
“デスゲームもの”の名作『シークレットゲーム』のおもしろさ -
第54回
デジタル
鎌池先生&岩野Pにいろんなこと聞いちゃいました 最終回 -
第53回
デジタル
鎌池先生&岩野Pにいろんなこと聞いちゃいました 第3回 - この連載の一覧へ