このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

4K2K時代に向けた、シャープの誇りと熱意

並外れた高級機、ICC PURIOSはどんな映像体験を提供するか

2013年03月15日 11時00分更新

文● 鳥居一豊

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ICC PURIOSは、どこで見られる?

 LC-60HQ10の映像は映画はもちろん、地デジ放送でも素晴らしいもので、お金さえあればぜひとも欲しいと思ってしまった。映像を見ているうちに、かなり真面目に資金を捻出する方法を考えてしまうほどだった。しかし、260万円もの大金はそうそう簡単に稼げるわけもなく……と、堂々巡りに陥ってしまう。

指出 価格も含めて、パッと購入を決断できるような製品ではありません。じっくりと好きな映画やソフトを見て検討してもらいたいと考えています。ですから、販売店についても、じっくりとLC-60HQ10の映像を確認してもらえる環境で展示できるように協力をお願いしているところです。

 そのため、AQUOSシリーズのように、どこのテレビ売り場にでも置かれる製品ではないが、多くの販売店で展示できるように努力しているとのことだ。筆者の予想では、都市部にある広いテレビ売り場をもった大型店舗には順次展示されるのではないかと思う。まずはじっくりと見てほしい。一度その映像を見れば、4Kの凄さを実感できるだろう。

ICC PURIOSの他に、AQOUSでも4Kテレビを投入!?

 最後に、ちょっと聞きづらい質問をしてみた。ICC PURIOSは薄型テレビを牽引してきたシャープらしい、次世代のテレビ像を提案するまさにフラッグシップと言えるモデルだ。だが、購入できる人はごくわずかであり、4Kテレビの普及という意味では少々不安もある。果たして、4Kテレビはずっと手の届かない存在のままなのだろうか。

指出 4Kテレビは、これからのテレビのトレンドになるとシャープでも考えています。ですから、液晶テレビのAQUOSとして、ユーザーやファンの皆様の期待には応えたいと思います。

 ということは、もっと身近な価格のモデルやサイズバリエーションも増える?

指出 1月に開催されたアメリカのCESでは、AQUOS Ultra HDとして70V型の試作モデルを展示しました。こちらはICC技術は搭載せず、当社で開発した4K変換技術を盛り込んだもので、価格もより身近な価格にしようと考えています。

 より安価で身近な価格でありながら、サイズは70V型と大型というのも面白い。ちなみにICC PURIOSの方は、先述の「ミリ3本」の考え方があり、70V型などに大型化すると1mm当たりの画素の配列が3列を満たせないため、サイズ展開の予定はないようだ。

 4Kテレビは1.5H(画面の高さの1.5倍 フルHDは2~3Hが適正距離)の距離で視聴できるため、大画面だからといって広い部屋でなくても置けるという特徴もある。その意味でも、70V型や80V型、90V型といった大画面展開はぜひとも期待したいところ。

 また、逆にもっと小さな画面サイズはどうだろう。

「一般的な40V~46V型のサイズについても、市場の動向を見ながら検討していきたいと考えています」と指出氏

指出 当社にはIGZO技術を採用した業務用の4K液晶ディスプレイ「PN-K321」(実売価格は45万円前後)があります。これは映像制作や、CAD制作といった現場での使用を考えたものですが、需要があるならばテレビとして開発することは不可能ではありません。このほか、一般的な40V~46V型のサイズについても、市場の動向を見ながら検討していきたいと考えています。

 4Kテレビは視野を埋め尽くす大画面というのも大きな魅力だから、映像鑑賞として32V型の4Kを見たとき、十分な満足度が得られるかどうかは疑問だ(PC用モニターとしては一般ユーザーにとってもメリットがあると思うが)。実際、サイズとして手頃なものは価格も手頃である必要があるので、そうそう簡単に発売されるわけではないだろう。しかし、その気になれば32V型は作れるというのは、将来的には楽しみなところだ。

 液晶パネルについては、今や海外製パネルの採用が体勢を占めており、シャープだけがパネル生産を継続している。そこにはデメリットもあるわけだが、それを乗り越えて、シャープは4KパネルやIGZO液晶といった、世界に通用するパネルを産みだし、他にはない商品をいち早く開発できるという大きなメリットを生かして巻き返しを図っている。

 ICC PURIOS LC-60HQ10は、そんなシャープの誇りとテレビ作りへの熱意が感じられた。機会があれば、ぜひともこの製品をじっくりと見て、4Kの魅力とシャープのこだわりを体験してほしい。

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中