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オールフラッシュストレージも開発最終段階へ

MLCカードも登場!フラッシュ製品「EMC Xtrem」離陸

2013年03月07日 13時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月7日、EMCジャパンはフラッシュ製品群「EMC Xtrem」ファミリを発表するとともに、PCIeベースの新製品である「EMC XtremSF」の販売を開始。適材適所のポートフォリオとソフトウェアで他社との差別化を図る。

適材適所でさまざまなワークロードに対応

 EMCは長らくストレージ側に搭載するキャッシュとしてフラッシュを利用してきたが、昨年広範なフラッシュ戦略を発表。サーバー側に挿入する形態の「VFCache」を発表。さらにオールフラッシュのアプライアンスまで幅広く提供する計画を明らかにしている。今回、発表されたのは「EMC Xtrem(エクストリーム)」というフラッシュ製品群のファミリブランド名と、サーバー用のフラッシュカード「EMC XtremSF」(旧VFCache)の2種類になる。

EMC Xtremファミリ

 発表会で登壇したEMCジャパン マーケティング本部長 上原宏氏は、2013年のEMCジャパンの方針をおさらいしつつ、フラッシュカードやSSD、HDDなどのメディアのスペックを比較。「まずご理解いただきたいのは、要素によって適材適所があること」と述べ、サーバーフラッシュ製品や開発中のオールフラッシュアレイに加え、各種ソフトウェア、既存のハイブリッドストレージで、ユーザーのさまざまな要件を満たしていくとアピールした。

EMCジャパン マーケティング本部長 上原宏氏

 また、最近増えているオールフラッシュアレイ製品のベンチャーについては、「(オールフラッシュアレイは)絶対にワンサイズフィッツオールではない。お客様の要件は全部異なるので、1つの製品ですべてのワークロードに対応できるわけではない。われわれは適材適所のポートフォリオを持っている」と牽制した。

DASとキャッシュで使い分けるEMC XtremSF

 今回発表されたEMC XtremSFはサーバーに取り付けることで、DAS(Direct Attached Storage)として利用できるPCIe x8のフラッシュカード。従来キャッシュ・DAS向けとして提供されてきたSLC(350/700GB)モデルに加え、今回はエンタープライズ向けのMLCを謳うeMLCモデルが新たに提供される。eMLCモデルは550GB/700GB/1.4TB/2.2TBの4モデルが用意され、DASとしての利用が推奨される。

 製品の詳細について説明したEMCジャパンの永長 純氏は、「MLCは耐久性が劣るのではないかと言われるが、われわれの設計のハードルは高い」とのことで、高い信頼性や耐久性を実現していると説明。また、4Kと8Kのワークロードに最適化しつつ、一貫したパフォーマンスを得られるのも大きな特徴だ説明した。実際にテストを行なうと、読み出し/書き出しがミックスされた状態でも、優れたパフォーマンスを示すほか、CPU負荷も他社製品に比べて抑えられるという。

EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 システムズ・エンジニアリング本部 プロダクト・ソリューション統括部長 兼 ソリューション部長 永長純氏

 こうしたハードウェアに加え、差別化要因になるのはソフトウェアだ。サーバー用のキャッシングソフトウェア「EMC XtremSW Cache」を組み合わせることで、接続されたストレージアレイへの性能を大幅に高速化。100万以上のIOPSを実現し、他社製品に比べ2倍の性能を実現するという。

 最新のEMC XtremSW Cache 1.5では、読み込み性能を向上したほか、重複排除やvMotion対応、アクティブ-パッシブのクラスタリングなどをサポートしている。また、2013年前半に発表する2.0ではキャッシュとメモリを同期させるキャッシュコヒーレンシーを導入することで、複数台でのアクティブ-アクティブのクラスタリングをサポートする予定となっている。永長氏は、「DASとして使っているフラッシュ間でミラーしたり、複数ストレージにまたがるフラッシュをプールする機能などが考えられる」とのことで、将来的にさまざまなソフトウェア機能を追加していくビジョンを披露した。

Projec Xの正体は「XtremIO」

 あわせて、「Project X」というコード名で呼ばれてきたオールフラッシュアレイの名称が「XtremIO」になることが明らかにされた。開発は最終段階に至っており、「一部の顧客には出荷を開始しており、フィードバックを元に仕様を詰めている」(上原氏)とのこと。

Project Xと呼ばれていたオールフラッシュアレイ「XtremIO」

 一方で、サーバーフラッシュを共有するアプライアンスとして開発意向が表明されていた「Project Thunder」に関しては、「顧客との対話の中で、今後の製品群でカバーされることがわかった」(上原氏)とのことでプロジェクトとしては終了。他のフラッシュ製品の開発プロジェクトにリソースが振り分けられたという。

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