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最新スマホも続々登場! Mobile World Congress 2013レポ 第23回

AppleとGoogleに逆襲開始? MWCで注目の新OSをまとめた

2013年03月05日 18時00分更新

文● 末岡洋子

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デスクトップから拡大
次世代コンピューティングのビジョンを示した「Ubuntu」

 オペレーターやメーカーとの提携は発表していないものの、Canonicalの「Ubuntu」のブースも盛況だった。Ubuntuはデスクトップ用Linuxだが、昨年からモバイルに向けた準備を進め、今年のCESでUbuntuをモバイルに拡大するビジョンを発表、その後タブレット向けのユーザーインターフェイスも披露した。

会場内のUbuntuブースもなかなかの賑わい

 4種のOSの中でUbuntuが異なる点は、デスクトップ/タブレット/スマートフォンで共通の土台をもち、それぞれにユーザーインターフェイスを持つという点だ。ユーザーはデスクトップからスマホまでUbuntuを利用し、すでに展開しているクラウドストレージサービスや音楽サービスなどを端末を超えて利用できる。スマホをキーボードと画面に接続するとデスクトップになるというのは、コンシューマーはもちろん、企業にも訴求しそうだ。

デスクトップ/タブレット/スマートフォンに拡大するUbuntu

 また、HTML5に限らず、Qt/QMLを利用してネイティブアプリも開発できる。この点はすべてHTML5でというMozillaの方針とは異なり、基調講演ではMozillaのMitchell Baker氏、CanonicalのMark Shuttleworth氏の両トップが意見の対立を見せる場面もあった。

 ユーザーインターフェースも、Firefox OSやTizen(試作機)がAndoid風にアイコンが並ぶのに対し、UbuntuはEdgeとして画面端からのスワイプよるアプリ選択とマルチタスクが新しい印象を与える。

 Canonicalによると、端末の登場予定は2014年はじめとのことだ。

元NokiaのMeeGoチームが仕掛ける個性派のJolla

 「新しいものを作りたかった」と語るのは、JollaのCEO、Marc Dillon氏だ。Jollaは、NokiaからMeeGoプロジェクトに加わり「Nokia N9」「Nokia N900」を手がけたチームが集まって立ち上げたベンチャーである。Firefox OSとUbuntuがそれぞれブラウザー、デスクトップからの拡大、Tizenが業界団体である中、Jollaはスマートフォンのために設立された専業のベンチャー企業となる。冒頭の発言は、MeeGoの事実上の終了後に、IntelがSamsungと推進しているTizenにJollaチームが加わらなかった理由だ。

MeeGoを断念したNokiaから独立し、ベンチャーを立ち上げたJolla。そのCEOであるMarc Dillon氏

 Jollaは「Sailfish OS」というモバイルOSを開発するが、Jollaが4種類のOSの中でユニークな点は自社で端末(「Jolla」)を開発する点だ。Sailfish OSはOEMにライセンスも行う予定で、2本柱で端末を増やしていく。ここは端末メーカーであるNokia出身者ならではだろう。「我々はソフトウェアとハードウェアを統合して、どうやって携帯電話を作るかを熟知している」とDillon氏は自信を見せる。

Jollaのデモ機

 Sailfish OSはMeeGoが利用していた開発技術Qt/QMLを利用する。HTML5、それにサードパーティーのソリューションを利用してAndroidアプリも動くという。JollaはMeeGoが目指していた能力主義によるオープンソース集団の要素が強く、Jollaチームと話していると2010年のMeeGoカンファレンスと同じ空気を感じた。

 Jollaは2012年中頃に姿を表し、1年足らずの間に技術開発はもちろん、事業戦略も進めている。オペレーターは発表されていないが、2013年の年末商戦向けにフィンランドでリリース。中国では2014年2月の旧正月に間に合うように製品が登場する予定という。中国では、国内に約2000店を持つという携帯電話ショップのD.Phoneとの提携が2012年秋に発表されている。

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