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超高音質オーディオ配信で変えるPCオーディオ環境 第2回

高音質の階段を駆け上がれ! 4STEPでハイレゾ環境導入

2013年03月05日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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STEP 3 iTunesを卒業!? いよいよFLAC再生に挑戦してみる!!

  • 必要なソフト:Madia Monky
  • 必要な音源:手持ちのCD
  • 必要なハード:手持ちのPCとUSBスピーカー

 TW-D7IPを使って、AACとWAVの違いに気付き、調子に乗ってばんばんCDをリッピングし直している人がいっぱい現われるといいなと思う。だが、WAVの問題はファイルのサイズが大きいこと。PCならば問題にならないかもしれないが、iPodでもWAVのまま同期すると、思った以上に曲を保存できるないことにすぐ気付くだろう。

 ここで、ロスレス圧縮の出番となる。iTunesでもAppleロスレスを使えばロスレス圧縮は可能。ただし、再生ソフトはiTunes一択となる。携帯プレーヤーもiPhoneやiPodだけしか使わない。もう一生これだけでいいという人ならば、Appleロスレスで問題ない。

 つまり、Appleロスレスの弱点は互換性がやや乏しいことだ。PCオーディオの世界は多様性がとても広いことも魅力のひとつ。再生ソフトは数多いし、携帯プレーヤーにしても国内外からさまざまなモデルが発売され、音質に優れたモデルなども数多い。こうした多彩なソフトや製品から自分の好みに合ったものを選び、自分だけの最高の音を見つけるのもオーディオの楽しみなのだ。

 Appleロスレスでは、こうした楽しみの広がりがやや縛られたものになってしまう。そこで注目したいのがFLAC。前回説明したように、FLACは無料で使えるため、再生ソフトのメーカーや音楽配信サイト、携帯プレーヤーメーカーでも採用しやすい。だから、より多彩な機器を楽しめる。

 特に再生ソフトは、定番と言われる有名なソフトの多くがフリー版を提供しているため、無料でさまざまなソフトによる音の違いを楽しめてしまう。だが、Appleロスレスの再生に対応しているソフトとなると数が少ない。有料版なら対応なのに……と、悔しい思いをすることも少なくない。

 だから、非圧縮のWAVではなく、ロスレス圧縮を使いたいならFLACを選ぶといいだろう。ちなみのその次のステップであるハイレゾ音源を楽しむうえでも、FLAC再生のための環境は整えておいた方がいい。

FLAC再生はソフトをダウンロードすればOK

「MediaMonky」のメイン画面

「MediaMonky」のメイン画面

 手持ちの音源をFLAC形式で保存するためには、対応した再生ソフトや変換ソフトなどが必要になる。使い勝手がよく、音質の評価も高いおすすめソフトが「MediaMonky」。

 海外のソフトだが、日本語化も万全だし、「窓の杜」からダウンロードページへ行けるので比較的ソフトの入手やインストールも容易だ。

インストール時に日本語の選択が可能

インストール時に日本語の選択が可能

インストール作業も日本語表示で、指示に従うだけでいい。ちなみにUSBメモリーなどから起動するポータブル版のインストールも可能

インストール作業も日本語表示で、指示に従うだけでいい。ちなみにUSBメモリーなどから起動するポータブル版のインストールも可能

 MediaMonkyは、CDのリッピングから楽曲管理が可能な統合型音楽プレーヤー。iTunesと同じ感覚で使えるのもありがたい。リッピング時のエンコーダでFLACが選択できるので、CDをFLACで保存できる。これで、FLAC形式の音楽ファイルの再生に対応した環境の準備は完了だ。

CDリッピング時にエンコードを選べる。FLACの選択も可能だ

CDリッピング時にエンコードを選べる。FLACの選択も可能だ

 FLACは圧縮のための技術でもあるので、信号のデコードはPC内で行なわれる。USBケーブルを通るのはリニアPCM信号となるわけなので、先ほどのオラソニックのTW-D7IPでもきちんと音は出る。だが、オラソニックには、これからFLAC環境を整えようという人にお薦めしたいモデルもある。それが兄弟モデルの「TW-D7WM」だ。

オラソニック「TW-D7WM」。ドックの端子がウォークマン用となるほか、ボディーカラーがシルバーだ

オラソニック「TW-D7WM」。ドックの端子がウォークマン用となるほか、ボディーカラーがシルバーだ

 これは、ドックポートがソニーのウォークマン用のポートとなったモデルで、それ以外の機能は共通。前回紹介したように、ウォークマンにはFLAC対応モデル(Fシリーズ、Xシリーズ)がある。

 48kHz/16bitまででハイレゾ音源には非対応だが、FLAC形式の再生が楽しめる。しかも、独自のフルデジタルアンプ「S-Master MX」やデジタルノイズキャンセル機能など、ソニーの高音質技術も満載で、携帯プレーヤーとしてもかなり優秀なのだ。

 FLACファイルの再生は、この組み合わせで行なってみた。さきほどと同じ曲を聴いてみると、こちらの方がより細かなニュアンスがよく出ているように感じる。情報量が増え、ステージの前後感もさらに奥行きが深くなるし、ホールの響きのような空間の広さまで出てくる。

 これは、WAVとFLACの違いというよりも、再生ソフトの違いだろう。iTunesも決して音質が悪いというわけではないが、MediaMonkyは音質も重視したプログラムになっており、よりきめ細やかな再現をする。

 そして、FLAC形式のままウォークマンに楽曲データをコピーして、こちらでも再生してみた。これもまた音がちょっと変わる。プレーヤーによる音質差もしっかりと描き分けるオラソニックのスピーカーはさすがの実力だ。ウォークマンは粒立ちのよいサウンドでボーカルや楽器などの音像がよりくっきりと浮かび上がる。ステレオイメージの立体感や空間の広がりなどの再現も良好だ。

 ここまでくると、PCを中心としたミニマムな組み合わせながら、音質的にはかなりのレベルになる。この音に慣れてしまうと、残念ながらAACで配信される音には少々不満を感じるようになるだろう。

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