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超高音質オーディオ配信で変えるPCオーディオ環境 第2回

高音質の階段を駆け上がれ! 4STEPでハイレゾ環境導入

2013年03月05日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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STEP 2 PCにUSBスピーカーを追加して音質をグレードアップ

  • 必要なソフト:iTunes
  • 必要な音源:手持ちのCD
  • 必要なハード:手持ちのPCとUSBスピーカー

 続いては、少しだけお金をかけて、PCにUSBスピーカーを追加する方法だ。USBスピーカーのいいところは、USBケーブルで接続するだけで簡単に使えること。しかも、USB経由でデジタルのまま音楽データを外に出すので、PC内の高周波ノイズや電源ノイズの影響を受けにくい。かなり効果のある方法なのだ。

オラソニックの「TW-D7IP」。デザイン優先のスピーカーに見えつつ、実はかなりいい音がするということで評判の高いモデル

オラソニックの「TW-D7IP」。デザイン優先のスピーカーに見えつつ、実はかなりいい音がするということで評判の高いモデル

 ここでお勧めしたいのは、オラソニックの「TW-D7IP」。比較的安価で高音質なUSBスピーカーの定番的存在だ。卵型の独特なフォルムは、可愛らしいデザインで高音質スピーカーというと疑問に感じる人もいるかもしれない。

 しかし、実はこの形状はオーディオ的な理屈に合ったもので、普通の四角いスピーカーのように平行な面がないためスピーカー内部の定在波が発生せず、音を濁らせる不要な振動が発生しにくい。また、スピーカーから出た音がボディーの角で反射してきれいに放射されない、という四角いスピーカーの問題を緩和するなど、さまざまなメリットがある。

TW-D7IPの正面のドック部分。ドックの手前には、電源スイッチや入力切り替え、ボリュームなどの操作ボタンもある

TW-D7IPの正面のドック部分。ドックの手前には、電源スイッチや入力切り替え、ボリュームなどの操作ボタンもある

 TW-D7IPは、iPhone用ドックを備え、iPhone用スピーカーとしても使えるタイプで、価格は1万2000円ほど。iTunes使いには最適とも言えるモデルだろう。

 また、iPodドックが不要という人ならば、USB入力のみの「TW-S7」もある。こちらはドックもないし、USBバスパワーで使えるのでACアダプターも不要という軽快さが魅力。価格も1万円ほどだから、PC専用ならばこちらがいいだろう。

TW-D7IPの右側面。ステレオミニ入力とヘッドフォン出力も備える。iPhone以外の携帯プレーヤーとの接続やヘッドフォンとの組み合わせも可能

TW-D7IPの右側面。ステレオミニ入力とヘッドフォン出力も備える。iPhone以外の携帯プレーヤーとの接続やヘッドフォンとの組み合わせも可能

TW-D7IPの背面。スピーカー用の端子と、USB入力、ACアダプター用の接続端子がある

TW-D7IPの背面。スピーカー用の端子と、USB入力、ACアダプター用の接続端子がある

 このTW-D7IPを選んだ理由は音のよさもあるが、なによりもUSBケーブルを接続するだけで使えること。ドライバーのインストールは自動で行なわれ、すぐにPCのUSBオーディオデバイスとして認識される。

 これだけ簡単ならば、誰でも挑戦しやすいだろう。残念ながら対応するサンプリング周波数は48kHzまでなので、96kHzや192kHzのハイレゾ音源は再生できない(ソフト側で48kHzにダウンコンバートして音を出すことは可能)が、ここでは簡単に使えることを最優先している。ハイレゾ音源はもう少し先のステップだ。

TW-D7IPで非圧縮音源を聴いてみる

 では、TW-D7IPとPCを接続した音を聴いてみよう。まず驚くのは、女性ボーカル曲などを聴くと、スピーカーとスピーカーの間にボーカルの姿がフワッと浮かび上がるように再現されること。1個のユニットだけで音を出すフルレンジ型で、しかも卵型の形状でユニットからの音がスムーズに放射されるため、音像の定位がとても優秀なのだ。

 さらに聴き込んでいくと、ボーカルの横にギターがいて、やや後ろにベース、ドラムが配置されていることまで気付く。こういう前後の奥行きの再現も得意なのだ。こうした立体的な再現はステレオ再生のひとつの魅力で、まさに目の前にステージが見えているような聴こえ方をする。

 AACなどの圧縮音源と、非圧縮音源の大きな違いのひとつがこれだ。先ほどPCの内蔵スピーカーでは違いがわからなかったという人は、楽器やボーカルの位置や前後の奥行き感に注意して聴き比べてみよう。AACは音色については大きな違いはないかもしれないが、前後の奥行きが感じにくく平板な印象になっていると感じるだろう。

 もちろん、音色の細かなニュアンスやオーケストラのように楽器の数が多くなると、音色や音数にも差は出てくるが、そもそもクラシックを聴き慣れていないと違いがわからない。こうした試聴で肝心なのは、どんな曲でもいいから自分が好きな、よく聴いている曲を使うことだ。

 少々手前味噌だが、オラソニックのUSBスピーカーを使えば、AACとWAVの違いが誰でもきっとわかるはず。WAVの方がいいとわかれば、オーディオにこだわる人の気持ちが少しだけわかるだろう。

 何事も最初が肝心。最初にちゃんとした音を出せるものを聴いておけば、自分なりの善し悪しや好みがわかってくるようになる。すでに自分の音の好みや善し悪しの判断基準がわかっているならば、USBスピーカーは自分の好きな物を選んで大丈夫だが、どれを買えばいいのか迷っているならば、ここは筆者に騙されたつもりで、オラソニックを選んでみてほしい(責任はとれませんが……)。

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