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2012年CPUクーラー最強王座決定戦 第1回

野心作が多数! 2012年CPUクーラー王座決定戦【第1回】

2013年03月03日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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ベイパーチャンバーの効果は?
Cooler Master「TPC 812」

●対応ソケット:775/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:138(W)×103(D)×163(H)/約978g
●ファン回転数:600~2400rpm±10%(PWM制御)
●風量:19.17~86.15CFM±10%
●ノイズ:19~40dBA
●実売価格:8000円前後
●製品情報URL:http://www.coolermaster.co.jp/product.php?product_id=6761

「TPC 812」はヒートシンクの設計も細かい。構造を観察すると小さめのフィンを互い違いに入れて密度を高めていることがわかる。ちなみに製品にはファンを静音化するアダプターが付属するが、残念ながら検証機には付属しなかったため未検証

 この「TPC 812」の一番の特徴は、複雑な構造のヒートシンクだ。6本のヒートパイプのほかに「バーティカルベイパーチャンバー」と呼ばれる熱移送機構を備えているのがポイントだ。ベイパーチャンバーとはGeForce GTX680など最新ビデオカードのリファレンスクーラーに採用されている機構だが、これをCPUクーラーに採用したのは本製品が初となる。CPUから発せられた熱はヒートパイプが吸い取り、さらにその上にベイパーチャンバーが覆いかぶさることでさらに熱を吸い取る方式だ。

ヒートパイプとベイパーチャンバーを上から押さえつけるパーツが隙間だらけなのが気になる。これでは熱がしっかり伝わるのかちょっと疑問。お値段お高めの製品なのでもう少し密閉感が欲しいところだ

 しかし今回の検証ではファンノイズは低めだった割に65℃といまひとつふるわない結果となった。ヒートシンクを固定する金具は「Hyper 212 EVO」と同じタイプ。マザーの表面からドライバーで固定できるタイプだが、4スミのネジを締めてプレッシャー圧を稼ぐ設計。設置は楽だがネジの締め込みがやや甘めな印象だ(中央のネジを回転させて圧を稼げるようだが、装着状態で回すのは結構難しい)。この点はメンテナンス性は劣るが締め込みやすい「X6」の方が優れていていると感じた。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  33.0 ℃ 31.7 ℃ 30.6 ℃ 33.0 ℃ 45.2 dBA 932 rpm
純正より -10.0 ℃ -4.5 ℃ -4.0 ℃ -0.6 ℃ +3.7 dBA -1504rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  65.0 ℃ 31.2 ℃ 35.4 ℃ 48.8 ℃ 35.7 dBA 1383 rpm
純正より -7.0 ℃ -9.5 ℃ -8.8 ℃ +1.3 ℃ -16.8 dBA -4017 rpm

10分間の温度推移

L字レイアウトの使い勝手が光る
Cooler Master「風神ワイド」

●対応ソケット:775/1155/1156/1366、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:144(W)×140(D)×98.4(H)/約628g
●ファン回転数:600~1600rpm±10%(PWM制御)
●風量:29.84~85.36CFM±10%
●ノイズ:20~35.08dBA
●実売価格:8000円前後
●製品情報URL:http://www.coolermaster.co.jp/product.php?product_id=6726

右下の写真のような向きで取り付ければ、背の高いメモリーも自在に装着可能。どの方向でも固定することができるが、向きによっては最もCPU寄りのPCI Expressスロットが潰れる可能性もある

 可能なかぎり全高を抑えつつ高い冷却力が欲しい場合に最適なのが「風神ワイド」。いわゆるトップフロー型の製品だが、14cm角の大型ファンを装備しているのが大きな特徴だ。L字型のヒートシンクはCPUを覆う“ひさし”のような格好になっており、張り出した部分を冷やしたい部位に合わせて設置可能。取り付け金具は「X6」と同じくマザーを毎回裏返す必要のあるタイプだが、形状的に裏返してもグラグラしにくいため、作業は「X6」よりも容易に感じた。

ファンのブレードは「Hyper 412」と同じタイプだが、ファン自体の厚みが20mmとやや厚みがある

 気になる結果だが、特別優秀というわけではないようだ。ヒートシンク部の容積が小さいため高負荷時のCPU温度はほぼ限界温度といえる71℃に到達。動作音は実に静かだが、ファンが全力回転するとそれなりにうるさい。

 また今回の検証では張り出した部分がVRM部上になるよう設置したため、同社製品の中ではVRM部温度が最も低くなった。しかし今回のエントリー製品全体から見れば強烈に冷えているわけではない。サイドフロー式が使えない場合の冷却ソリューションとしては優秀だ、という認識が正確なところだろう。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  34.0 ℃ 34.1 ℃ 29.1 ℃ 33.0 ℃ 38.1 dBA 719 rpm
純正より -9.0 ℃ -2.1 ℃ -5.5 ℃ -0.6 ℃ -3.4 dBA -1717 rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  71.0 ℃ 32.5 ℃ 37.1 ℃ 44.0 ℃ 46.2 dBA 1626 rpm
純正より -1.0 ℃ -8.2 ℃ -7.1 ℃ -3.5 ℃ -6.3 dBA -3774 rpm

10分間の温度推移

【機材協力】

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