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Apple Geeks 第106回

URLスキームはアプリの可能性を広げるか?

2013年03月01日 18時30分更新

文● 海上忍(@u_shinobuTELAS

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

「URLスキーム」を知る

 iOSは「マルチタスク」に対応しているが、必ずしも「すべてのアプリがマルチタスクでは動作しない」。矛盾する言い方のようだが、同じマルチタスクでも前者は「複数のプロセスを並行して動作可能」なことを意味し、後者は「複数のアプリケーションの並行処理には(必ずしも)対応しない」ことを意味する。PCの分野ではもはや当たり前となったマルチタスクが、iOSでは制限されているのだ。その背景については、当コラムの第72回「iPhone/iPadの「アプリ間連携」を活用する」を参照いただきたい。

 Appleはすべてのアプリにはマルチタスクを許可しない代わりに、「URLスキーム」という手段を用意した。URLスキームとは、ネットワーク上の位置(アドレス)を示す手段であり、ウェブページなどインターネット上の資源を指定するときに使われる「http」がその代表格。これに準じた機構をアプリに提供すれば、完全な形ではないながらもアプリ間の連携が可能となるのだ。

 URLスキームを利用すると、あるアプリから他のアプリに値を引き渡しつつタスク(アクティブなアプリ)を切り替えることができる。たとえば、メモアプリにある住所/氏名の情報をスケジュール管理アプリで入力したい場面でURLスキームを利用すれば、iOSにより自動的に設定されるハイパーリンクをタップするだけで、コピー&ペーストをせずに情報をアプリ間で引き渡せるとともに、アクティブなアプリを切り替えられる。こうすれば、マルチタスクが制限されるiOSにおいても複数のアプリを行き来しやすくなるというものだ。

URLスキームを知っていれば、メールなどを利用して相手にアプリの起動をうながすことができる

アプリで定義されたURLスキームはシステムに把握されているため、「メモ」などのアプリに記述すれば、自動的にハイパーリンクが設定される

 URLスキームでどのような値を引き渡せるか、その仕様の公開はデベロッパーに任されている。Appleが開発したiOS付属のアプリは、ミュージックの「music:」やマップの「maps:」などの存在が知られているが、仕様は非公開のため、エンドユーザーは自由に利用できない。

 しかし、ここにきてGoogleが「Google Maps」のURLスキーム(関連リンク)を公開。またインクリメントPも「MapFan+」のURLスキーム(関連リンク)を公表しており、アプリ間連携への道を開いている。地図アプリにかぎらず、連携によるメリットが得られるアプリでは、このような動きが広がっていく可能性は高い。

「Google Maps」

「MapFan+」

Google Maps App
価格無料 作者Google, Inc.
バージョン1.0 ファイル容量6.7 MB
対応デバイスiPhone 3GS以降、iPod touch(第3世代以降)、iPadシリーズ 対応OSiOS 5.1以降
MapFan+ App
価格無料(アプリ内課金) 作者INCREMENT P
バージョン1.0.2 ファイル容量15.5 MB
対応デバイス全機種 対応OSiOS 5.1以降

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