このページの本文へ

防災対策で携帯2台持ち 2台目はPHSがオススメなワケ

2013年03月07日 11時00分更新

文● 林 佑樹

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「東京都帰宅困難者対策条例」の制定以前から
AMW総務部では対策を検討

 都条例で、さらに多くの取り組みを求められているのが事業者側だ。たとえば、企業が社員の一斉帰宅を抑制すると同時に、3日分の水と食料を備蓄することが求められている。また従業員との連絡手段の確保の事前準備もある。このほか、鉄道事業者や集客施設の管理者などには、施設内での待機や安全な場所への誘導に努めてほしいといったことも明記されている。読者が勤務している企業でも実は準備を進めているケースも多いのではないだろうか。

東京都帰宅困難者対策条例の詳細は都のサイトに掲載されている

 というわけで最も手近な事例として、アスキー・メディアワークスの総務部にどうなのですか? とたずねてみたところ、実は2012年3月に都条例が制定される以前から、取り組みをスタートしていたのだという。

「2年前の東日本大震災のときは会社として十分な対応ができなかった。これではいけないので、会社全体で取り組みをしないといけないだろうと考えました。震災後に社内のアウトドアの知識に強い人などを集めてヒヤリングしました」

 という回答を得られた。その結果、会社内にある程度の備蓄が必要だと判断。また、会社を起点に10~30kmの範囲にどのくらいの社員が住んでいるのかを確認し、その人数に応じた量を用意することになったという。

アスキー・メディアワークスの総務部に対策を確認したところ、PHSを利用した連絡手段などもすでに検討済みで、資料もしっかり作られていた!

 備蓄以外には通信手段の確保も課題となった。震災当日はウィルコムのPHSが規制されずに使えたという情報を入手。それを踏まえて、複数の通信手段の重要性を認識し、ウィルコムの据置型PHSであるイエデンワの導入を決定した。

 現在は、各フロアごとに社員から任命した自衛消防隊の地区隊長の座席付近に1台ずつ設置している。イエデンワは乾電池で動くという部分も大きい。乾電池は1年に1回は交換することにしている。それとは別に無線機も導入を検討しているという。

3日分の水や食糧
階段を降りられる装置も用意している

 帰宅困難者を待機させるための環境作りとして、3日分の備蓄が必要と書いたが、この3日という期間にも理由があり、行政からの支援が届くまでの想定時間なのだ。インフラなどがある程度回復し、帰宅するまでのルートに安全が確保されるであろうというラインでもある。

 その対応策として、社内のキャビネットの中に水のペットボトルが多数用意されている。これはオフィスに設置している自動販売機の業者との協力で、普段は在庫を一時的に保管する形を取っている。使用期限が切れる前に自動販売機に充填することで、無駄を無くしているのだという。簡易トイレや5リットルの水が入る簡易ポリタンクも常備されている。これはビルの非常電源の稼働時間が24時間なので、その間に水を汲むなどして、対策することを想定している。

キャビネの中に水の備蓄が。災害時用の簡易トイレや汚物入れも常備している

 さらに車椅子の人や骨折するなどしてしまった人用に、階段を降りられる「EVAC+CHAIR」という防災道具を導入しており、安全に人を移動できる。また、帰宅が困難な状況であっても、自宅に小さな子供や介護が必要な家族を残しているスタッフもいる。そのため、家族ごとにどう対処するのか話し合っておいてくださいという内容のメールを全社員に送り、同時に社内向けのお知らせ掲載サイトにも掲載された。

人を乗せて、階段を降りられるEVAC+CHAIR

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン