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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第192回

中身はAMD製 スペックから紐解くPS4のプロセッサー性能

2013年03月04日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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GPUはRadeon HD 7850相当

 次はGPUを見ていこう。明確にされているのは、GCNベースということと、1.84TFLOPSという数字のみである。下表はAMDのサイト(関連リンク)からスペックをまとめたものだ。1.84TFLOPSというのは、Radeon HD 7850よりもやや高速で、Radeon HD 7870 GHz Editionにはおよばない程度だとわかる。

各GPUのスペック
GPU シェーダー数 GCN
Compute Unit数
動作周波数
(MHz)
単精度演算性能
(TFLOPS)
Radeon HD 7750 512 8 800 0.82
Radeon HD 7770 640 10 1000 1.28
Radeon HD 7850 1024 16 860 1.76
Radeon HD 7870 1280 20 1000 2.56
Radeon HD 7950 1792 28 800 2.87
Radeon HD 7970 2048 32 925 3.79
Radeon HD 7750 512 8 800 0.82

 ちなみに日本語サイト(関連リンク)では、Radeon HD 7850の性能が2.56TFLOPSになっているが、これは間違い。本来は米国サイト(関連リンク)にあるように1.76TFLOPSである。

 Radeon HD 7850の内部構造は、左下の画像のようになっている。これと右下の画像にあるRadeon HD 7970の内部構造を見比べるとわかるが、Radeon HD 7970は32個のGCN Compute Unitを持つもので、ここから多少GCN Compute Unitを減らしたものがRadeon HD 7850となる。

Radeon HD 7800シリーズの内部構造。画像はRadeon HD 7870の図なのでGCN Compute Unitを20個内蔵する

Radeon HD 7970の内部構造。32個のGCN Compute Unitを持つ

 そのGCN Compute Unitの中身が下の画像だ。1つのGCN Compute Unitには16個づつ4グループのシェーダーを格納するので、1GCN Compute Unitは64シェーダーに相当する。

GCN Compute Unitの中身。赤い縦長の小さな塊がScalar Unit、つまり単精度演算を行なうシェーダーに相当する

 GCN Compute Unitを20個搭載するRadeon HD 7870は1280シェーダー、16個搭載するRadeon HD 7850は1024シェーダーという計算になる。1つのシェーダーは1サイクルで加算と乗算の2つの演算が可能なので、あとはシェーダー数×動作周波数×2の計算で演算性能が算出できる。

 以上のことからGCNでは64シェーダー単位での増減しか出来ない。しかも、GCN Compute Unit数は必ず偶数になる。先のRadeon HD 7850と7970の内部構造画像を見比べても、2つのユニットが左右に分かれる形になっているのがわかる。おそらく今回もこの構成を踏襲すると考えて良いだろう。

 プレゼンテーション資料にはないが、ソニー・コンピュータエンタテインメントはPS4について「18のCompute Unitがある」という説明をしている。これはGCN Compute Unitが18個あると考えて良いだろう。つまりシェーダー数で言えば18×64=1152個という計算になる。

 そこで、1.84TFlopsを実現するために逆算すると、798.6MHz駆動という数字が出てくる。結果、PS4は800MHz駆動で1152個のシェーダーを持つGPUが搭載されている、と考えれば良さそうだ。

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