Apple TVで「アプリ」が動作する日が来る?
現在のApple TVにおけるBluetoothキーボードのサポートは限定的で、多言語対応が考慮されていないため、日本語入力できないなどの問題を抱えており実用的とはいえない。しかし、ポイントはそこではない。キーボードで文字入力が可能になったことよりも、BluetoothのHIDプロファイルがサポートされたこと、キーボードやマウスなどの入力装置が利用可能になったことが、より重要だ。
今現在Apple TVに不足している要素が「アプリ」だとすると、気の利いた(当然ワイヤレスの)入力装置が欠かせない。付属の赤外線リモコンは即応性が要求される操作に不向きだし、あのボタンの数と配置では使用範囲が限られる。Blutoothキーボードも、ワイヤレスとはいえiOSライクな操作には適さない。
今後Apple TVにリソースが注がれるとしたら、可能性として考えられるのは「Bluetooth/HIDプロファイルを用いる何か」だろう。Wiiリモコンも同じ通信方式であり、アクションゲームにも利用可能なレベルのレイテンシーを実現しつつ、3軸加速度センサーなどの新機軸を打ち出した。iPhone/iPad向けアプリとの互換性を考えれば、各種センサーとタッチパネルを組み合わせたリモコンが想像されるところだ。
iPhoneやiPadをリモコンとして使う手もあるだろうが、これは「AirPlayミラーリング」で実現されている。複数人でプレイできるゲームが提供されるとして、人数分のiPhone/iPadを用意しなければ遊べないという状況も考えにくい。今回のファームウェアアップデートによるBluetooth/HIDプロファイルのサポートは、やはり高機能リモコンへの布石だと理解したい。
しかも、ここにきて「Apple TVの開発キット(SDK)が公開されるのでは」という噂も流れ始めた。現段階ではウラの取れない話ではあるが、アプリ開発事例の豊富なiOSをベースにしていること、アプリ販売プラットフォーム(App Store)がすでに稼働していることを考えれば、Appleの決断次第ともいえる。もちろん、ゲームなどに使える多機能なリモコンが開発済みという前提でだ。
しかし、我々エンドユーザーが感心を持つべきは「コンテンツ」だろう。iPhoneでは楽しいカジュアルゲームも、大画面のテレビでは興ざめしてしまうはず。ゲームに使えるリモコンが追加されたところで、現行のApple TVではPS3やXbox 360のハードウェア性能には及ばず、いわゆる「ゲーマー」を取り込めるとも思えない。Appleが狙う市場も、そこではないのだろう。

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