15倍モードの画質もチェック!
パナソニックは最長で15倍まで選べるので、そのAVCエンコードの実力の高さをさらに生かせる。では、最長の15倍録はどうだろうか?
確認してみるとさすがに画質的には劣化が目立つ。ディテールは明らかに甘くなったと感じるし、木々や建物の輪郭もジャギー感が目立ちやすくなる。ブロックノイズ状の派手なノイズが出ないので、それほど見づらいわけではないが、ニュースやバラエティなど、1回見ればOKな番組ならばなんとか使えるかな、という印象だ。
ちなみに、BDに残すことを前提に、5倍モード以上の高圧縮画質モードを確認してみたところ、7~8倍が境界線と感じた。個人的には8倍になると全体的な映像の甘さや動きの激しい部分でのノイズ感が目立ちやすくなるので、BDに残すのをためらう。
だが、7倍で7日間保存、8倍で8日間保存できるとなると、画質を多少犠牲にしても8倍モードを選ぶかもしれない。連続ドラマで驚愕の展開があったとき、前週の放送を見直したくなることが少なくないからだ。
ディテールの潰れやテロップの輪郭が崩れて見づらくなるのは10~12倍。このあたりから、スポーツ中継などは視聴が厳しくなってくる。
チェックポイント8 BD再生画質や音質をチェック
画質評価のクライマックスはBDの再生画質だ。映画ソフトを中心にいくつかのソフトで確認したが、DMR-BXT3000は色再現の豊かさが特徴的で、ディテールも十分。暗いシーンでも色が抜けにくいため、映像の雰囲気がよく出る。このあたりは、ほかのDIGA同様の印象で、上級機の画質に通じるよさが出ている。
DBR-M190は精細感の高さは見事なもので、遠景の見通しのよさや服や肌の質感がよく出ており、このあたりは上級BDレコーダーらしい実力の高さを感じる。ただし、色に関しては暗部がモノトーン調になりやすく、映像全体が少々あっさりとした再現になる。色のパナソニックか、精細感の東芝か、という選択になりそうだ。
ちなみに、音質に関してはそれぞれに多少の違いはあるものの大きな差はない。スペック的にも、どちらもHDMI出力は1系統で、上級機にあるHDMI2系統を使った映像・音声の独立出力はできない。どちらもサラウンド感や声の再現性は十分な実力だが、重低音の力感や勢いがやや不足気味になるのが少々物足りない部分だ。
チェックポイント9 再生開始までの速度などの操作レスポンスをテスト
BD再生の開始時間や操作レスポンスを試してみると、なかなか面白い結果が出た。まず、再生開始時間だが、最近のソフトでは特に本編の開始(トップメニューが表示されるまでの時間)が長い「プロメテウス」で計測したところ、以下のように大きな差が出た。
BD再生開始時間の比較 | ||
---|---|---|
機種名 | DMR-BXT3000 | DBR-M190 |
結果 | 1分10秒 | 2分47秒 |
多少のフォローをしておくと、DBR-M190が遅いのではなく、DMR-BXT3000がかなり速い。BDソフトの出画は専用機であるBDプレーヤーの方が高速だが、DMR-BXT3000(および現行DIGAシリーズ)の速さはそれに匹敵するレベルで、BDレコーダー勢より抜群に速いのだ。
今度は、BDソフトのポップアップメニュー上でチャプター移動を行なうときの操作レスポンスを比較した。これは筆者自身も最近気付いたのだが、BDレコーダーは全般的にレスポンスが悪く、BDプレーヤーの方が軽快にサクサク動く。それぞれシステムLSIがまったく異なるため、進化の方向性の違いが如実に表れ始めたのだろう。
これを踏まえて、パナソニックと東芝を比較すると、DMR-BXT3000の方がチャプターのサムネイル表示に切り替えでもたつくことが多く、逆にDBR-M190の方がスムーズにサムネイルが切り替わった。
このあたりはそれぞれのシステムLSI(パナソニックは新ユニフィエ、東芝はレグザエンジンCEVOとともに自社開発のもの)の違いが現われている部分だと思う。BDソフト再生で明らかに差を感じるのは出画までの時間だが、意外にメニュー操作のレスポンスでも差がつくので、頻繁にBDソフトを再生するなら購入前にいろいろと試してみるといいだろう。