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業界人の《ことば》から 第28回

転換期を迎えるシャープのビジネス

オンリーワンはホームラン狙い、スモールヒットの経営へ

2013年02月26日 09時00分更新

文● 大河原克行

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スピードと柔軟性を削ぐ、オンリーワン

 もうひとつは、オンリーワン技術の創出は、ハードルが高く、これがスピード感に欠ける事業構造化を生む温床になろうとしていた点だ。

 奥田社長は、オンリーワンという言葉を、「ホームラン狙い」とも言い換える。

 他社との圧倒的な差別化を持ったオンリーワン技術は、当たれば大きいが、なかなか出ないのも事実だ。まさにホームランと同じである。

 ホームランに頼る経営から、「スモールヒット」の積み重ねによる経営へとシフトするのが、奥田社長が掲げる「顧客重視のナンバーワン」ということになる。

 それによって、スピード感と柔軟性を持った体質へと転換する狙いがあるのだ。

 だが、顧客重視のナンバーワンとは、単にシェアナンバーワンを目指すことを指すのではない。

 奥田社長は、「新しいチャネル、新しい顧客、新しいエリア、新しいカテゴリーの4つのマーケティング視点でのナンバーワンを目指す」と、その意味を説明する。

 シャープでは、16あったビジネスユニットを、デジタル情報家電事業ユニット、健康環境・エネルギー事業ユニット、ビジネスソリューション事業ユニット、デバイス事業ユニットの4つのビジネスユニット体制に移行。さらに、BtoC、BtoB、BtoMの3つの顧客軸の基にした社内カンパニー制を2013年4月から導入する考えであり、これにより、4つのマーケティング視点でのナンバーワンを目指すことになる。

 「オンリーワン」という言葉を封印し、「ナンバーワン」という言葉を打ち出したシャープの方向転換が、同社再建の切り札になるかが注目される。

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