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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第15回

”ソーシャル疲れ”を脱却する新SNS「Path」の戦略とは?

2013年02月19日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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ソーシャル疲れの正体は「混ぜるな危険?」

 花束やプレゼントなど、どんな贈り物をしようか考える時間もまた楽しいですし、喜んでもらえたら贈った側もうれしいものです。こうした顔の見えるコミュニケーションは、前述の通り、それに費やす時間も楽しむことができます。

 一方で、これに対照的なのが「ソーシャル疲れ」「Facebook疲れ」といわれる、SNSに対するネガティブな反応です。CNNにはFacebook疲れを感じる米国人は、その6割が数週間Facebookを使うのを止める“休暇”を取ることで対処しているそうです(http://www.cnn.co.jp/tech/35027865.html)。ギフトを考える時間が「楽しい」と感じ、喜んでもらえれば「うれしい」と感じる感覚に比べると、だいぶ大きな変化があると言えます。

 この違いには、コミュニケーションの中で、相手をイメージできるかどうか? という点が関わっているように感じます。ギフトの場合、プレゼントをする相手が明確に分かるので、考えることはその人が喜んでくれるかどうかにフォーカスされます。しかしFacebookのような、学校や職場、地元など様々なつながりが入り乱れるソーシャルメディアでは、自分のポストがそうした様々な人に読まれる前提で投稿しなければなりません。

 Facebookには友だちをグループ分けする機能もありますが、つながりが数百人になってくると、そのグルーピング自体も非常に手間ですし、投稿ごとにどのグループに見せるかを選ばなければならないとなると、写真1枚をアップロードするとしても、いちいちそこに思考が介在します。そして、これは少なからず1度は皆さんも経験があると思いますが、プライバシー設定が間違っていて、見せたくない写真を公開してしまったときの失敗。

 こうしてSNSがだんだん顔の見えないコミュニケーションになっていくことによって、ストレスがかかるようになっていくことが、ソーシャル疲れの1つの原因ではないか、と見られています。米国西海岸の場合、特に「仕事用はLinkedIn」と用途を分けていることもあり、増えすぎたFacebookでの関係性に対して疲れを感じてまで続けるほどのインセンティブが見えにくくなってしまっているのではないでしょうか。

 日本では、「ソーシャル就活」(ソー活)のツールとしてFacebookを活用しているとの意見も聞かれます。また、実名SNSとしてLinkedInより先に日本に上陸したためか、Facebookをビジネスのコミュニケーションツール、人脈ツールに活用する使い方も強く、「Facebookはプライベート」という前提が強いシリコンバレーでは驚かれます。私自身、Facebookのメールやグループウエアのような活用はとても便利だと感じています。

 Twitterは情報収集、Facebookは仕事、など、何らかの目的性を持って使っていれば、その目的に役立っている限り、「疲れる」ということは少ないようです。しかし、一度ようとを決めてネットワークを作り始めると、よりプライベートな使い方をしたい、と思っても、取り返しがつきません。そうしたことに気付くのも後からの話で、現在のFacebookは混在したコミュニティを整理するというニーズに、明確な対処ができません。

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