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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第15回

”ソーシャル疲れ”を脱却する新SNS「Path」の戦略とは?

2013年02月19日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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友達は「150人」という数字に制限するPathの戦略

 ソーシャル疲れは、Facebookを長く使っている人に現れる傾向です。また1つの原因に「150人」という数字があると言います。この数字はオックスフォード大学で進化人類学を研究するロビン・ダンバー教授の「ひとりの人間が安定した関係を結べるのは150人まで」という研究によるものです。

 だったら、友だちになれる人数を150人に限れば良いじゃないか、というのが、今回紹介するPathの戦略です。Facebookの花形エンジニアが独立して、モバイルに特化したSNSとして開発したPathは、ソーシャル疲れに対してどのようなアプローチを取るのでしょうか。CEOであるDave Morin氏に聞きました。

PathのCEO、Dave Morin氏。サンフランシスコ市内のSOMAエリアのビル最上階にオフィスを構える

 「Pathでは、より深いつながりを持つ少ない人数で、モバイルのSNSを作り上げようと考えました。つまり、リアルな友人の間で作り上げる、夕食の食卓のようなイメージです。他愛もない身近な話から、より個人的な話ができる場所を提供しようと考えました」(Morin氏)

 Pathは当初、つながることができる人数の制限を50人にしていました。その理由は「すぐに名前が挙げられる本当の友人の数が50人だったから」(Morin氏)といいます。すると、Pathのユーザーの間での平均の友人の数は15人になりました。制限一杯までつながりを登録するのではなく、つながりを1つ1つ考えながら追加していった結果、と見ることができます。

Pathにはあしあと機能とアイコンで簡単にリアクションを贈る機能がある。写真だけでなく、ビデオにもフィルターがかけられる

 そこで次に、つながりの制限を150人に変えたところ、平均は当初狙っていた50人になったといいます。しかしユーザーからのフィードバックでは、「人数制限されている場が好きだから、これ以上人数を変えないでくれ」という要望が多く寄せられるそうで、むやみにたくさんの人を追加しないPathの「居心地の良さ」を体験しているようです。

 人数を限ったことによって、投稿数は格段に増えたといいます。

 「毎日、たくさんの瞬間(Pathでは投稿を「モーメント」と呼んでいます)が共有されています。その投稿には気遣いは特にありません。例えば、TwitterやInstagramにポストするのは有名店のモカに限られますが、Pathでは近所のカフェ、家で作ったモカも共有されます。気取らない日常がシェアされるため、投稿数は格段に増えていきます」(Morin氏)

 Pathには、TwitterやFacebook、Foursquare、Tumblrなどにコンテンツを共有することができる機能を備えているため、普段からPathで写真を撮ったりチェックインをし、モノによってはオープンに共有する、といった使い方にも適しています。Pathの中にとどめるか、Pathの外に出すか、だけ考えれば良い仕組みは、共有先のグループをいくつも選ぶFacebookのそれとは違います。

Path App
価格無料 作者Path, Inc.
バージョン2.9.3 ファイル容量15.7 MB
カテゴリーソーシャルネットワーキング ユーザーの評価(4.5)
対応デバイス全機種 対応OSiOS 4.0以降

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