正規版を買うユーザーが増えている一方
海賊版狙いな人も……
中国においては海賊版対策のためか、今後はパッケージ版のWindows 8は販売されず、ダウンロード販売のみとなる。
ただしAmazon中国では、ライセンス単体でWindows 8 Proを488元(約7200円)で販売しているほか、2月からの実質的な値上がりを踏まえて、1月31日以前に日本などで安価で購入したWindows 8を「淘宝網」などのオンラインショッピングサイトで転売する人も出てきている。このため、マイクロソフトの直売サイト以外からの購入も可能だ。
1月31日以降も購入者の声は確認でき、全般的には意識して正規版を買おうという人が増えているという感じは受ける。
一方で海賊版を支持する人は依然としており、海賊版こそまだ出ていないが、Windows 8 RP(Release Preview)をどうにかして使っている人もいる。
淘宝網でWindows 8のライセンスを数百円で販売するショップも出てきていて、「そんなに安いわけがない、海賊版にきまっている」という反応がある一方、こうした店では多数の販売履歴が確認できる。
中文版「Windows To Go」が人気
また中国らしい動きといおうか、中文版「Windows To Go」だけを無料ダウンロードするサイトが続々と登場し、どうも多くのPCファンの間で受け入れられているようなのだ。
Windows To Goは、USBメモリーからWindows 8を起動する機能で、USBメモリーひとつでPC環境を持ち運ぶことができる。ただしこの機能に対応するのはWindows Proではなく、Windows 8 Enterpriseのみとなっているが、中国人にとってはどのバージョンか、なんて問題はとるに足らない問題だ。
中国産有料アプリは皆無
誰かが無料でなんとかしてくれる!?
Windows 8といえば、Modern UIとWindows 8アプリ。QQなどのチャットアプリ、各オンラインショッピング用アプリ、新浪微博などの微博アプリ、SNSアプリ、優酷などの動画アプリ、音楽試聴アプリ、フォトレタッチアプリ、ブラウザーアプリ、ゲームアプリとすでに一通り揃っている感がある。
無料の人気アプリを見ると、ほぼすべてがすでに中国産アプリであり、さらにその多くが既存のサービスをアプリ化したものだ。一方、有料のアプリには中国産のものは皆無で横文字のものが並ぶ。
Windows 8もまた、ツウの間では冒頭で紹介したiOSのようなJailBreakに期待がかかっている。さらにその先には、同胞の誰かが有料アプリをハッキングして中文無料化し、提供することへの期待がある。
つまり、iOSやAndroidと同様にWindows 8向けの人気アプリを出すなら、やがて中国で無料版が勝手にリリースされることを覚悟しなければならない。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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