韓流スターの到着便を教えろと
食い下がるおばちゃん
自分が搭乗する前に一目韓流スターに会いたいと、搭乗便を教えて欲しいと食い下がるおばちゃん。スターがどれだけイケメンなのかを説明しだし窓口を占有してしまう。これに対し成田空港の竹内 由梨さんは、おばちゃんの話を親身になって聞きつつ、ジョークを交えつつ話のアドバンテージをいつの間にか握って対応する。
事前に座席指定していたが
連絡ミスで伝わらず
連絡ミスで事前に電話予約していた席が取れなかったことをきっかけに、車イスでも広々座れるドア前の席を要求。これに対して、徳島阿波踊り空港の関富 愛さんは、非常時に危ないのでお勧めできない(緊急時に客室乗務員のアシストができない旅客は座れない規則があるが、規則とは言わずに旅客の立場で説明)と説得する。
すると今度は、ディズニーランドに比べてサービスが悪いうんぬんといやみを言いつつ、特注の車イスなので機内に持ち込みたい(機内通路が狭いため本来はJALが用意したイスに乗り換える)と言い出す。関富さんは最大限に誠意を見せてこれに対応し、最後は機内に入れる車イスのサイズを知るいいきっかけになったと感謝。旅客もその丁寧さにお礼するまでにいたる。
客室に犬を持ち込みたいと要求
自分の犬は荷物じゃないとゴネる
以前に客室にペットを連れている旅客を見た(規則上ありえない)と言い張る旅客に対して、とかち帯広空港の岡崎 めぐみさんは、「可愛いワンちゃんを荷物あつかいにするのはおかしい」と社内の規定を批判しながらも、貨物室でも犬が快適に過ごせる旨説明。しかし旅客は、犬は貨物じゃないとゴネるが、繰り返し客室と変わらない環境であることを説明し、最後は出発ギリギリまで待つので、それまで犬と遊んであげて欲しいと提案。飼い主は納得して、快くJALが用意したケージ(犬小屋)にペットを預けた。
手続きに割り込もうとする旅客
さらにそこに割り込む旅客
同じ便に乗る旅客だが、2人目の旅客は上司との約束の時間に遅れたため、1人目の手続き中に何かと割り込み「あとどのぐらいかかるの?」を連呼。これに対し伊丹空港の木村 泉さんは、乗り遅れることはないからと安心させつつ、手際よく1人目の旅客に対応する。
矢継ぎ早に2人目の旅客の手続きをはじめたかと思うと、1人目の旅客が搭乗ゲートが分からないと割り込んでくる。木村さんは説明が早く終わるゲートの案内を先に説明するが、2人目の旅客がこれにへそを曲げるが、笑顔と丁寧なサービスで、旅客をいつのまにか笑顔にさせていた。
こんな感じで、いかにも「あるある!」的な手ごわい旅客が次々と選手たちに襲い掛かるロールプレイングだ。審査員の顔ぶれに選手たちの緊張も半端ないようで、近くで見ていると手がぶるぶる震えつつも、笑顔でお客さんの立場に立ったカウンター業務を行なうそのさまに感動すら覚えるほどだ。
一方、旅客役も迫真の演技のうえに、あれやこれやと次々ゴネるので、てっきり劇団員を雇ったのかと思っていた(社外審査員もそう思っていたらしい)が、コンテストを主催した部署のスタッフが練習に練習を重ねてきたものだという。
満席なのに並びの座席を
求めるカップル
さてみごと優勝に輝いた羽田空港の大久保 美佳さんの旅客は、結婚の申し込みをするため彼女の実家に向かうという熱々のカップルだ。
チェックインカウンターに付くと、窓側の席を希望するがあいにく満席。搭乗便には修学旅行客がいて余裕がないようだ。大久保さんが端末をたたいて空席を照会していると、カップルは思い出したように後部の2人がけシートがいいと言い出した。しかし後部ブロックは修学旅行客で埋まっているため空席がない。結局並びの空席がなく、2人で離れて座る席しかないことを告げると、カップルは猛反対。
そこで大久保さんは機転を利かせて、ファーストクラスへの誘導をし始める。追加料金が1人あたり8000円が別途かかるがどの座席も並びのシートが確保できるほか、ゆったりでき空席もたくさんあるので、一番見晴らしのいい窓際も押さえられるというカウンターの端末で分かる情報だけでなく、ファーストクラスの特典をすらすらと説明し始めた。
最初は8000円の追加料金を「高い」といっていたカップルだが、説明を一通り聞くと8000円の価値があると納得し、カップルにとってもハッピー、JALにとってもハッビーなファーストクラスへみごと誘導してしまったのだ。おりしも搭乗機はJALのスペシャルマーキング機の「嵐ジェット」。そのことを彼女に告げると大喜びする。
異常を通常に収める接客スキル
何度も登場する「お客様が常に新鮮な感動を得られるような高品質なヒューマンサービスの提供を目指し、お客様に“寄り添い”、JALフィロソフィーを価値観として体験できる安全とサービスを提供する」という言葉がまさにピッタリの接客術がそこにあった。そして選手全員が持っているのは、イレギュラーケースをレギュラーケースに収めてしまう接客スキルだ。
これ以外にも、会場がハラハラどきどきするやり取りをみごとな接客術で応対する選手たち、旅客役のとんでもない無理難題に爆笑するシーンなどもあり、入賞者は次の結果となった。
JAL航空サービス プロフェッショナルコンテスト 入賞者 | ||
---|---|---|
優勝 | 羽田空港 | 大久保 美佳さん |
準優勝 アナウンス賞 |
新千歳空港 | 田村 梓さん |
審査員特別賞 | 羽田空港 | 斗光 奈津子さん |
伊丹空港 | 木村 泉さん | |
社長賞 | 阿蘇くまもと空港 | 奥村 友梨さん |
アナウンス特別賞 | 徳島阿波おどり空港 | 関富 愛さん |
ここに名を連ねた皆さんは、日本全国のJALチェックインカウンターからエントリーしてきたスペシャリスト中のスペシャリストとして認められただけに、表彰式ではうれし涙にむせぶ姿も見られた。もしJALで空の旅をするときには、チェックインカウンターの彼女たちのネームプレートを見て、その接客に感動してもらいたい。